[BlueSky: 4795] Re:4793 養蜂・送粉昆虫と農業 


[From] "Masashi Yamaguchi" [Date] Wed, 29 Jan 2003 12:28:10 +0900

邑瀬さん、

> 一般に畑と違って、水田は湛水する(=水を張る)ので土の中は嫌気的、すな
> わち還元的になります。したがって、窒素は(硝酸態に酸化されずに)アンモ
> ニア態窒素→亜酸化窒素→窒素という脱窒反応によって、大気中に行きます。
> つまり、上流の畑地から流出した硝酸態窒素を下流の田んぼに引き入れて水稲
> に利用させ、余剰分は大気中に逃がすという水質浄化効果が期待できます。

基本的なところを教えていただいて、変だと思っていたことが少し理解できました。
光合成を研究している同僚が、除草剤よりも硝酸性窒素が環境負荷として重要
ではないかなどと口走っていたので、おかしいと思いました。ちなみに、河川や
湖沼での負荷ではなくて海での問題です。少し調べてみて、地下水の窒素汚染の
問題は人間に影響しそうだとわかりましたが、海に出てからはむしろ栄養塩不足
を解消するのではないか(希釈を考えて)と想像しています。

> # ちなみに、水質関係では硝酸性窒素、土壌関係では硝酸態窒素と言うのが慣
> # 習です。どちらの用語を使うかでどちらの専門の人かが分かります(笑)。

海洋学でも硝酸態窒素という用語を使います。硝酸性窒素というのを使うには
違和感がありましたが、水質の文献や本で使っているのでつきあいました。

余談ですが、私が今進めている仕事で、遺伝学では「集団」というのですが
生態学では「個体群」を使うので困っています。英語では問題にならないから
論文発表では構いませんが、日本語で話をするときに困ります。学問が蛸壺
のなかで別々に進められた結果ですね。

Masashi Yamaguchi
Faculty of Science
Univ. of the Ryukyus
Nishihara, Okinawa
903-0213 JAPAN



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