[BlueSky: 4745] Re:4744 森の小人HP


[From] "Masashi Yamaguchi" [Date] Fri, 20 Dec 2002 18:21:08 +0900

葛貫さん、こんばんわ

> 山口さん、「化学物質の規制、改正法案提出へ」
> http://www.asahi.com/science/news/K2002121902887.html
> だそうです。

お知らせありがとうございます。

> できるだけ多くの人に、解釈だけではなく、生のデータ(データの
> 収集法も含めて)が晒され、いろいろな視点からチェックを受け、
> 公開で議論されるようにした方がいいのだろうな、と思いました。

農薬の販売元のサイトで使用上の注意事項を見ていますと、
それを全部守るのは不可能、つまり使えないものを販売して
いるのではないかと言いたくなりました。実際に農家がそれを
きちんと理解して実行するかという点も気になりました。

例えば次のURLを見てください。水質汚濁性農薬と称されています。
http://www.nissan-nouyaku.net/products/main.cfm?action=Products_main&ID=233

このような注意事項が出されている背景にはこの除草剤の特性データ
があり、私はそれを見ているのでそれぞれの注意の意味が理解できますが、
実際に使う農家ではどうなるのか、注意事項がどのくらい守られているか
までのモニタリングはなされているとは思えません。重大な人身事故でも
起こらないかぎり、環境負荷となって使用された場所から外に出て行っても
チェックされないでしょう。ただし、この例のものには水質基準が設定されて
いて、水道の水源水ではチェックを受けていますから、基準値を超えて出た
数値は問題となるはずです。しかし、これは現在、出荷量が全国的に減少
している、つまり使われないようになっていますし、他の薬剤のほとんどが
チェックを受けていないのです。なにしろ多種多様な(似たようなものを含め)
農薬が商品化されて使われていながら、自然環境面でのチェックはゆるやか
です。そして、生物濃縮が起こらないものが強い雨などのために一過性で
流出する傾向があり、水質モニタリングでは検出されにくくなっています。
海外のデータでは流出特性に合わせてモニタリングされていますが、日本
では影響が出なさそうな時をわざわざ選んで測定していることのようです。

農薬問題は過去の事故を教訓にして人間に直接及ぶ被害を避けるように
フィードバックがかけられてきて、それなりに成果がでていると思います。
しかし、自然環境に対する負荷の面ではかえってわかりにくくなっていて、
深く静かに潜航しているような感じです。その影響がすでに解消している
ならば、干潟に生物がよみがえってもよさそうですが、現実には過去の重い
環境負荷に耐えてきたはずのアサリが1980年代以後、特に最近になって
全国的に減少を続けています。

今回の規制の見直しが意味のあるものになるためには、それを実証
できる監視項目を設定する必要がありますが、本当にできるのかどうかが
見えてきません。そしてアリバイ工作が裏で進められているのではないかと
懸念されてなりません。

山口正士
903-0213 沖縄県中頭郡西原町千原1
琉球大学理学部海洋自然科学科


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