[BlueSky: 4739] Re:4738 腸内細菌によるサンゴの伝染病


[From] "Masashi Yamaguchi" [Date] Tue, 17 Dec 2002 11:44:31 +0900

葛貫 様

> 一般人だと「地球温暖化が原因でしょうな」、「はぁ、そうですか」
> で思考停止してしまいがちですが、汚水処理の改善という実行可能
> な改善策を示すことができるのは、さすが専門家だなと思います。

少し前に高校生からメールが来て、サンゴの死滅問題に関して
サンゴを養殖することで対処する方法を教えて欲しいという質問が
ありました。死滅の原因が人為的な環境負荷であるならば、サンゴ
を増やす努力は無意味であり、自然現象であれば余計な干渉になる
可能性があるし、養殖で遺伝的に単調な集団を作っても維持できない
(人工林と同じ)から、本質的な問題を見据える事が大切であると
返事をしました。しかし、専門家の集団がここぞとばかり、サンゴを
増やすという名目のプロジェクトに群がっているのが日本の現実の
ようです。

サンゴの問題で海外と日本とで対応が極端に異なるのは文化の違い
かメンタリティの違いなのか、とにかく問題が起こった時に対処する
姿勢で、科学的合理性がどこかにすっ飛ぶのが日本の特徴であると
感じています。病気を薬漬けで治そうとするとか、何でも目の前だけ
を処理するような対症療法:単線思考はどこから生まれているので
しょう。

> 私は行政について全くと言っていいほど無知なのですが(^^;、
> もし日本で、このようなサンゴの異常が発見され、汚水処理の改善
> が、まず取り組める方策だと判断された場合、どの行政機関に話を
> 持っていくことになるのですか?

地域の問題として、沖縄県であれば文化環境部の仕事でしょうか。

> 人的被害がでた場合は厚生労働関係の行政機関、漁業被害がでた
> 場合は農水関係が関わってくれそうですが、この場合は、環境関係
> の機関になる(窓口になってもらう?)のでしょうか。
> 汚水処理改善にかかる費用は、どういう名目で何処から出ることに
> なるのでしょう。

下水道整備と水処理施設の拡充は重点的に進められているはずです。
自主財源が乏しい県ですから、多分中央からの交付金頼みでしょう。
自主的に増やして対処したくても、なかなか動けないだろうと思います。

> そういえば先程、「地域の環境保全活動に環境省職員が「出前」」
> http://www.asahi.com/national/update/1217/008.html
> という記事を見かけました。

機動的な特務班をテーマごとに編成して集中して取り組むと効果が
あるでしょうね。そして、その道の専門家を巻き込むことも必要でしょう。

> 余談ですが、セラチア菌って院内感染が問題になった菌ですよね。
> 日和見感染する菌ですよね。

水にも乾燥にも強い細菌だそうです。下のサイトに情報があります。
http://tag.ahs.kitasato-u.ac.jp/tag-wada/noframe/l290.htm

沖縄では汚水の影響が強い場所ではすでにサンゴが死滅しているので、
不幸にも病気になって騒ぎになることはなさそうな気がします。しかし、
サンゴばかりが注目されている陰では、多くの無名な沿岸生物が消えて
います。私にはこっちの方が深刻であると感じています。

一昨日訪れたビーチはまるで砂漠状態でした。そこの砂を採取して
来ましたが、別の健康的なビーチの砂浜から採取した小動物をその
砂で飼育するとどうなるか、これから調べてみます。

山口正士
903-0213 沖縄県中頭郡西原町千原1
琉球大学理学部海洋自然科学科


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