[BlueSky: 4697] 除草剤についての情報求む


[From] "Masashi Yamaguchi" [Date] Sun, 1 Dec 2002 15:55:32 +0900

葛貫さま、[4696]のメッセージありがとうございます。
トピックタイトルが内容とかみ合わなくなりましたので、
独立のスレッドに移ります。

.> ハマグリの生活史について詳しく知らないのですが、再生産、浮遊
幼生期、着底期、着底後・・・等々、どの段階のどんな条件が資源量
の増減に大きく影響するのだろうと思います。

簡単に述べますと、繁殖期はだいたい初夏、浮遊幼生期間は2週間前後、
砂泥(アサリよりも砂が多めの場所)に着底直後は干潟の潮間帯、つまり
干潮の間は干上がる所に棲息します。底生生活の最初の大きさは殻の
長径が0.2ミリよりすこし大きく、後に満1年で米粒くらいまで育ちます。
最大は殻長10cmを越えます。生理的な寿命は数十年あるでしょう。
成長期の途中30-40ミリぐらいで粘液糸流動で沖合いに移動すると
言われています。これは3歳くらいでしょう。性成熟は5センチ以上です。
上は西日本を考えた場合で、場所によってはかなり異なります。

まず、卵が発生する時に水質に問題があれば、それが大きく響くでしょう。
潮間帯の砂泥に付着している微細藻類に注目しているところですが、
これについてはかつて誰も調べていません。潮が引いている間、稚貝
集団は堆積物の中に浅く潜っています。このときに間隙で藻類を食べて
いるだろうかなと思っています。水中の浮遊性植物プランクトンなども
もちろん餌として利用しているでしょうが、稚貝が野外で何をしているか
をじっくり調べた研究はありません。潮が引いている間が稚貝にとって
もっとも安全な時です。潮が満ちると捕食者の攻撃にさらされると思い
ます。ハマグリの水管はとても短いので、深く潜ると砂の上まで伸ばして
餌をとることが出来なくなります。3,4センチまで育つと殻が丈夫で
つるつるであって、捕食者にかなりしっかりと抵抗できます。堆積物の
間に住む微細藻類フローラが乱されるとその基礎生産が失われかね
ません。除草剤の土壌吸着性が水素イオン濃度の異なる海水中の
堆積物の表面でどう変化するかも情報が見つかりません。こういった
点は自分で一つ一つやってゆくしかなさそうです。

>【4692】での問いは、除草剤(光合成阻害性のもの)が河川や地下
水を経由して海に出てくる量の上限の予想したい。
除草剤の日本での使用実態(主要都市部での使用が多いのが不思議)、
シマジンの日本全体の出荷量が減少傾向を続けている理由、
等でしたね。

そうです。もう少し具体的に言えば、河口干潟の堆積物に藻類や稚貝に
悪影響を及ぼしているかどうかを見たいので、実験的に暴露試験をする
以前に野外で起こりうる濃度レベルをあらかじめ知りたいわけです。

山口正士
903-0213 沖縄県中頭郡西原町千原1
琉球大学理学部海洋自然科学科
http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~coral/


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