[BlueSky: 4338] Re:4337 京都議定書を批准しても対策は幻


[From] Minato Nakazawa [Date] Tue, 04 Jun 2002 01:48:14 +0900

中澤です。

NOIKE Motoki さんは書きました:
>温暖化防止対策「長野モデル」について、
>全文をコペルニクスのホームページにアップしました。
>
>http://homepage2.nifty.com/copernicus/naganomodelmokuji.htm
ありがとうございます。やはり,こういう文書はオープンにアクセス
できないと勿体無いです。先日いただいたファイルの印刷イメージと
かなり近い形でHTML化されたんですね。ご苦労のあとが偲ばれました。

>長野県の特色は何なのか。
>それを生かした温暖化防止対策はどういうものがあるのか。
>ということを考えながら、
>自分達の暮らしたい長野県像を描きながら、
>この「長野モデル」を委員有志と協力者によって書き上げていきました。
太陽光発電,ペレットストーブや木製ガードレールや木製の机と椅子など
間伐材の利用といったところは,「長野県の特色を生かした」対策だなあ
と感じました。温暖化対策で6%削減を具体的に実現しようと考えると,
こうした地域特性に根ざした対策ももちろん大事になってくるでしょう。
ただ,国の政策に反映させるという点では,マイカー通勤の市部での半減,
郡部での25%減とか,自動販売機の半減とか,コンビニ・スーパーの営業
時間の短縮とか,環境税の導入とかグリーン電力入札といった,どの地方
でも通用しそうな対策が具体的に提言されていることの意味が大きいと
感じました。試算結果をみても,マイカー通勤の減少がもたらす効果が
すごく大きくて,他の対策と桁がいくつか違いますね。

偶然なのかもしれませんが,長野県の特色を生かした対策の方は,個々の
生活者の負担は少なくてシステムとして実行すれば済むようなものになって
いて,全国どこでもできそうな対策の方は,個々の生活者に意識や価値観
の変革を要求するようなものになっていると思いました。

>「耐え忍ぶ」「欲しがりません、勝までは」的な対策は入れませんでした。
そうですね。そうは言っても,マイカー通勤の半減は抵抗が大きいように
思いました。自動車への強い愛着をもつ人はかなり多いと思うからです。
正直言って,ぼくは免許ももっていませんし,マイカーの必要性というものが
ほとんど理解できないのですが,必要でなくても惹かれる気持ちは想像でき
ます。そこをどうやって説得するか? 1つは代替交通手段の魅力(利便性
だけでなく)の向上でしょう。ライフスタイルの転換ということで,
マイカー通勤の半減が2-(1)-1で,公共交通機関や自転車の利便性の向上が
2-(1)-2で挙げられていて,それがCO2削減には大いに役立つということは
わかるのですが,ライフスタイルの転換を主体的に選択してもらう(という
のは語義矛盾かもしれませんが)ためには,もう一歩踏み込んだ案が必要
だと思います。自転車が格好いいとか,バスの乗り心地がいいとか,
公共交通機関での通勤なら通勤中に仕事ができるとか,プラスアルファの
魅力を訴えないと,マイカー通勤を半減させることは実現困難ではないで
しょうか。

長野市は自転車の通行にはとても不便な道路状況で,路側帯すらほとんど
ないところが多いということを,東京から移住したときにも痛感しました
が,今年山口市にきてからも感じています。山口市は街灯が少なくて,
夜道を走ると,かなり真っ暗に近いですが(エネルギー的には利点ですが,
暗闇で自転車がすれ違ったりするわけで,安全面からは多少怖いので,
自転車のライトを強力なものにつけかえました。逆に長野市は東京並みに
明るいので,明るすぎると思います),自転車が走れるゾーンはどの道
でもかなり広くて,長野市と違ってどこを走ったらいいんだと困ることは
ありません。横断地下道がかなり整備されていて,それも階段だけではなく
斜面になっていて自転車を押して渡れます。東京よりも便利なくらいです。

ところが,これだけ便利な山口市でも,マイカー通勤があたりまえという
価値観なのか,車への愛着なのか,ともかく徒歩や自転車通勤の人よりも,
マイカー通勤の人の方が普通なようです。住宅事情も悪くないので,職住
近接にできて,買い物をするにも自転車で10分から20分走れば便利な
店があって,大きなものを買ったときは配送してくれるから自転車で全然
困らないのですが,それでもなぜ人々はマイカーを使いたがるのか?
近くに住んで徒歩か自転車で通勤する方が無理せず運動になって
健康維持にも役立つのに,なぜわざわざ遠くに住んでマイカー通勤を
するのか? と考えると,ぼくにはマイカー通勤が合理的な選択だとは
到底思えないのですが,多くの人が選択しているからには,何か理由が
あるのでしょう。その理由を明らかにして,かつ打ち勝てるだけの
魅力を挙げないと説得力が不足しそうです。
# なぜマイカーをもつのか,という調査が必要かもしれません。
# 既にどこかにあるかもしれませんが。

【4309】で一ノ瀬さんが,
> 長野モデルは実行したいところですが、自動車通勤の半減など、経
> 済社会への影響が強すぎて、特に現下のような不安定な経済情勢では
> 大規模には実行し難いと思います。
とおっしゃってますが,自動車通勤半減の壁になるのは経済への
影響よりも,人の心の中の車への愛着であるような気がします。
マイカー通勤を半減しても,経済社会への悪影響はあまりないのでは
ないでしょうか。大手自動車会社の業績は伸びているし,国内消費
よりも輸出依存型になってきているようですから(それがいいとは
いいませんが,経済影響という意味でなら)。

田中知事の徒歩通勤宣言は実行されているのでしょうか?
実行されて,何かその魅力をアピールする文章を知事が発表して
くれたらいいなあ,と思っています。
では。

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Minato Nakazawa <minato@ypu.jp>
山口県立大学看護学部 公衆衛生学・看護健康情報学
Phone 083-933-1453 / FAX 083-933-1483


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