[BlueSky: 4277] Re:4267 捕鯨・多様性・ Racism


[From] "ICHINOSE,Takeshi" [Date] Wed, 29 May 2002 00:41:33 +0900

横合いから失礼します。尼崎市の一ノ瀬と申します。

新井さん#4267<
ただ、「文化」「伝統」は常に守らないといけないものなのでしょうか?

 ことクジラ問題に限って言えば、守るべきです。

 一方で、自然保護や生物の多様性維持を主張しつつ、他方、捕鯨禁止
を主張する人々が居ますが、彼らの見識を疑わざるを得ません。
 彼らは、人間をDNAの固まりとしか見ていないように感じられます。
 そして、彼らが「多様性」という言葉を口にするとき、DNAレベル
での多様性しか意識していないように感じられます。

 しかし、人類は、DNAレベルでの多様性の他に、文化と伝統という
多様性を、各地域毎に与えられた環境の下で、過去1万年かかって進化
させ、社会の中で遺伝させてきました。
 人類が獲得した文化レベルでの多様性が、これまでの繁栄の基となっ
ていることは言うまでもありません。そして、60億に達した人類が、
これからもこの狭い地球上で何とか生きて行くためには、我々が受け継
いできたこの”多様性”は、非常に貴重です。
 ユーラシア大陸の北西端で確立した特殊な食習慣を、全世界に過度に
広め多様性を減じることが、地球の人口収容能力を大きく損なうことは
言うまでもありません。

新井さん#4267<
僕としては、商業捕鯨の利益率に興味があります。日本の捕鯨業がきち
んと産業として成立しうる為にはどのくらいの水揚げ量が必要なのか。
またその水揚げ量にたいして、クジラの数が耐えうるのか、ということ
です。仮にそれが無理だとすると、それは産業として欠陥があるきがし
ます。

 ノルウェーやアイスランドでは、商業捕鯨が成り立っているのですか
ら、要らない心配かと思われます。今やクジラは超高級食材ですが、こ
ういうニッチな分野では、一般に、小規模ながら堅実経営の企業が成立
します。
 それに、特にミンククジラについては、漁業資源維持の為にはイヤで
も一定数を駆除しなければなりません。「駆除手数料」を一般の漁船か
ら徴収することも、不可能ではないでしょう。
 なお、新井さんは管理の困難さについても心配しておられましたが、
正直言って心配する理由が分かりません。日本は、狂牛病問題で、牛の
全頭検査を実行している国です。牛よりも遙かに流通数の少ない、クジ
ラの管理が出来ないと言う理由が分かりません。

 なお、私が捕鯨反対に反対する理由は、上記の他、反捕鯨論者の論法
−−−クジラは知能が高い云々−−−に、RACISM、かつての人種差別主
義者と同じ論理構造を感じるからです。

 かつて、奴隷制度を正当化する論理として、「黒人は知能が低い」と
いう主張がなされていました。知能の高い白人が、知能の低い黒人を使
役することは当然であって、倫理上何の問題もない、とする思想でした。
実際には、当時の大部分の黒人は、自らの知性の高さを証す機会すら与
えられていなかったのが真実です。
「クジラの知能は高い」と主張する人々は、暗黙の内に「牛の知能は低
い」ことを前提にしています。なるほど、牛は、イルカのような見事な
芸はしない。けれども、それは、牛がイルカよりも知能が劣るからでは
なく、生まれ落ちたときから人類の奴隷として、死んで肉になることの
みを強要されているからです。
 ほ乳類のくせに、レム睡眠を持たないイルカなどよりも、短くともレ
ム睡眠を持つ牛の方が、脳の機能としては遙かに人間に近いという説も
あります。
 イルカや鯨は知的だ、と主張する人には、牛が本当に知的でないのか
どうか、自ら牛に接して確認することをお勧めしたいと思います。私は、
少しだけ実は牛の世話をした経験がありますが、イルカよりも知的では
ないとは到底思えませんでした。




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