大塚です
> こんにちは、葛貫です。
>
> 昨年の11月30日の投稿なのですが、
>
> > 「野生トウモロコシから組み換え遺伝子 自然界を汚染か」
> > http://www.asahi.com/science/news/K2001112903061.html
> > という記事が今朝の朝日新聞に載りました。
> >
> > ソースは、昨日のNature
> > Nature 414, 541 - 543 (2001)
> > Transgenic DNA introgressed into traditional maize landraces
> > in Oaxaca, Mexico
> > DAVID QUIST AND IGNACIO H. CHAPELA
>
> に関しては、
> Maize transgene results in Mexico are artefacts
> Suspect evidence of transgenic contamination
> という意見が出され、
>
> 「Nature、組換え体由来遺伝子の非意図的伝播の論文掲載は間違い」
> http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/medi/179131
> ということになったらしいです。
>
該当するのは Nature のページの
http://www.nature.com/cgi-taf/DynaPage.taf?file=/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature740_fs.html
の下の方に出てくる文ですね。
実験結果に対して、「人為的な[間違いの]結果ではないか?」という批判が
提出された。著者はまだ自説を引っ込めていないし、追加となるデータを集め
てもいる。
Nature の編集としては、論文の審査者などの意見も聞いて考えた結果、現
時点では論文掲載にいたる程の証拠が挙がっているとは言えないという結論に
達した。批判と著者の返答を掲載して読者の判断を待ちたい。
といったことのようです。
日経の上記のページは嘘ではないけれども、ニュアンスが偏っているという
印象を受けました。孫引きで、「論文がまちがい」になりそう。
Nature に限らず学術誌では一般に、結論に見合ったデータが示されている
かなどが審査され、ある水準を満たした論文のみが掲載されます。今回のケー
スは論文掲載後に寄せられた批判を見て編集者と審査員の気が変わったという
ことなのでしょう。
科学的な論争は論文のやりとりで進むものです。だから、論文掲載後論争の
末、やっぱり間違っていたとなるケースもままあります。その意味では、後に
なってみると「気が変わった」ことはこれまでもたくさんあったと思うのです
が、わざわざ編集者がこのような文章を載せるのは珍しいと思います。
私は分子生物学は素人なので、論文について判定する能力はありません。
この調子で作付けが増えれば、遅かれ早かれ野生植物に伝播するとは思って
いますが。
大塚公雄
東京医科歯科大学
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