[BlueSky: 4049] Re:4044 臭い


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Fri, 5 Apr 2002 10:42:56 +0900

こんにちは、葛貫です。

和尚さんwrote:
> 事件を伝えたメディアが臭いを伝えることが出来たら、
> 屹度茶の間は蛋白の焦げる臭いで満たされたでしょうね。おぞましい図
> ですが、その方が、人は空虚な言葉ではなく事の真相を瞬間で知ること
> ができたでしょうに。繰り返される過ちも減るかもしれない。

もう10年以上前の話なのですが、家のすぐ近くで、早朝に火事が
ありました。当時、消防団というものに入っていた夫は、着替えも
そこそこに飛び出して行きました。一番先に現場につき、消火する
ホースの先端を持つことになり、最善を尽しつつも、不幸なことに、
彼は人が焼死してゆく過程に立ち会う羽目になってしまいました。

畑をはさんで向こう側、本当に近くで起ったことで、自分の大切な
人が、危険な場にいたのですから、ものすごい緊迫感を持って、
消火のために忙しく動き回る人達を見ていたし、次の行動を指示
するための怒鳴り声も聞いていたんです。
帰ってきた夫から、いろいろ話を聞き、現場を想像し、手が冷たく
なるような気持ちの悪さも感じたんです。

でも、それから12時間経っていない夕飯のおかずに、魚の蒲焼き
をつくったんですよね。それで、「ごめん。悪いけれど、これ、
今日、食べられないや。」と言われるまで、何にも思わなかった。
とても近い距離にいたし、同じ体験をしたように思っていたのだ
けれど窓越しに立ち会っていただけだったんですよね。

罪悪感とか、感傷的な気分にとらわれたのは、言うまでもない
ことですが(^^;、それよりも「共感の限界」みたいなものを、
痛烈に感じたのを思い出しました。

臭いも含め、現場を体験したその人、個人がそのものごとに
持っている質感を、本当の意味で共有することは、できない
のかもしれませんね。
 #私が、ことのほかズボラなのかもしれませんが(^^;;。

> 普遍化して大上段に言う積もりはありませんが、そう言う面もあり
> ますね。少なくともそう言う眼を持った科学者を私は好む傾向が
> 有るようです。自分がそうなっているかどうかは解りませんが。

「テロとの戦い」という名文句(?)で簡単に共同幻想に陥って
しまうような世の中です。
たとえそれが正義感に根ざしたものであっても、「熱い憎悪」は、
本当にものごとを良い方向へ持ってゆく力にはなり得ないように
思われます。醒めた部分を保っていたいと願います。

> これも私の好みの問題ですが、その場に立って臭いを嗅ぐ中でしか
> 真の姿は見えないと考えています。切ないことも当然ありますが、
> 世界はハリウッド映画のようには出来ていないことを自覚するため
> には一度は避けて通れないと考えています。

現実に立ち向かうためのinitiationなのかもしれませんね。
(怖くて、直面するのは、先延ばしにしたいけれど。)

> 未熟な心の揺れが過激な文章として現れたと
> したら、前文に関して反省しなければ行けない点も多々あるようです。
> まだまだ修行が足りませんね。

そんな、こと仰しゃらないで下さい(^^)。
> さすがですね。ここまで、みなさんの反応を集めておしまいになる・・・。
> 僕には出来ないなぁ。
と、佐藤さんも仰しゃっているように、和尚さんにしかできない
とても鮮やかな問題提起だと思っています。
また、お話、きかせて下さい。
では。





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