[BlueSky: 4015] Re:4014 ゲノム解析


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Mon, 18 Mar 2002 11:03:10 +0900

葛貫です。

「アルツハイマーの遺伝子持つ女性、受精卵診断で出産」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020227-10069391-reu-int

このような記事を見るとゲノム解析の結果が、「人」の選別に
使われ始めているのだなと、戸惑いを感じます。
# まぁ、経済的に余裕のある、ごく限られた人が受けられる診断・
# 対処方法のように思われ、どの位、普及するかわかりませんが。

田邊でさんwrote:
> ”唯一”の最適配列というのは、存在しないと思いますが、多目的の下での
> 数多くの最適配列というのはあり得ると思います。
> それが実際にどのような性質のものかはわかりませんし、価値観など
> 大きな影響を与えるものがあるのだと思います。
> 30億個の組合せの計算準備に何年かかるのだろう?ということを考えた
> だけでもゾッとします。

例えば、「鎌形赤血球症」という劣性遺伝の遺伝病があり、146個の
アミノ酸からなるヘモグロビンのベータ鎖のうちのひとつのアミノ酸が
(そのアミノ酸をつくるDNAの塩基配列CTTがCATへと)変化したことが
原因であることが突き止められています。この遺伝病は悪性の貧血症を
示すのですが、鎌形赤血球を持っている人は、マラリアに対する抵抗性
が強いことが知られています。

今現在の環境が変わず、そこで生活し続けるとしたら、マラリアが発生
しない地域では、ヘモグロビンベータ鎖の異常は「最適」からはずれる
かもしれません。でも、温暖化が進み、マラリアを媒介する蚊の分布が
変わったら、長期的に見て、貧血とマラリアの負担、どちらが重くなる
かわからない。マラリアの治療薬や、媒介する蚊の駆除法の開発状況も
影響してくるだろうし。

この遺伝子一つをとっても、自然環境・社会環境の変化、技術開発へ
の資金や人材の投入の傾向等々、及びそれらの揺らぎのようなものを
考え併せると、何を持って「最適」とするか、難しいな、と思います。
# 誰かの都合によって「最適」の方向が作られる可能性もある(^^;。

DNAの塩基配列は、蛋白質の一次構造を表わしているものす。
一次構造が決まれば、その性質や機能を左右する高次構造が自動的に
決まる情報を持つものが生物として残ってきているのだと思います。
そういう意味で、遺伝子の塩基配列から得られる情報はとても貴重な
ものだと思います。

でも、プリオン病等の例を見ると、ちょっとしたことで蛋白質の高次
構造が変わり、性質や機能が変わってしまう場合もあり得るんですね。

まだまだ、わからないことだらけですね。

# 大雑把な私見です。
# 気を付けたつもりですが誤りがありましたら、ご指摘下さい。






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