[BlueSky: 3961] Re:3937 教育の多様化


[From] satokenj@pilot.msu.edu [Date] Mon, 25 Feb 2002 20:50:17 -0500

佐藤@ミシガンです。

須賀さん:
> こんな学科があったら僕も勉強してみたいな、と思います。
> 日本にはないのかなあ。「工学から生物学まで」だけじゃ
> なくて、環境法・環境政治・環境社会学・文化人類学・
> 民俗学・環境史・エコアートなどの「文系科目(?)」も
> あったらもっとすばらしい。自分でプログラムをつくると
> いうのですから、そこを出たというだけでは何の保証にも
> ならない、そこで自分が何をみにつけたかが大事になる
> わけですよね。よく似た発想でつくっても、日本は米国
> とはちがう面が社会のなかにあるから、おのずと独自の
> ものができるのではないでしょうか?

僕は現在、いい年こいて、ミシガン州立大学と言う所でPhDを取ろうとしている
のですが、ほんと、アメリカの教育制度には驚かされることがたくさんあります
。須賀さんのおっしゃった、サクラメントのカリフォルニア州立大の様な斬新な
教育プログラムがいろんな大学で常に試されているのです。学部生レベルでも他
の大学で取った単位がトランスファー出来るので、複数の大学を経験できます。
マスター、PhDレベルだと、自分でプログラムを組んで自分で選んだアドバイザ
ーの先生達の会議でOKを取れば、文系・理系に関係なく、様々な科目を自分の専
門に組み入れる事ができます。普通1名以上の”学外アドバイザー”を入れる事
を推奨しています。教育の”品質保証”は資格試験と論文審査によっています。
ただ、こんな”手作り”の教育だと脱落者は多くなるし、年数も多くかかります
。学校や学部によるのでしょうが、5-7年が平均卒業年数と聞いています。サ
ロンやNGOでも良いのですが、それだけの人脈を探して一所に集うことが出来
るようにするのは大変な気がします。インターネットでバーチャル大学なんて事
も試されていますが、茶飲み話で考えがわくなんて事はなくなるしなぁ。ドロッ
プする人たちの割合が増えるだけかもしれない。

大学時代の同級生で、日本の大学の助教授やら講師やらをしている複数の友人の
話では、「アメリカのようなシステムは日本では夢のまた夢だ」、なんて言われ
ます。日本の大学では教授が絶対権力を握り、かつ、自己改革の必要性を全く認
識していない。事務局も、もう一つの抵抗勢力だそうです。「学問の自由」を錦
の御旗に、外部からの改革圧力を頑迷にはねつけているそうです。日本で見られ
る教育の多様性はアメリカから比べれば誤差範囲かも。大学の独立行政法人化(
でしたっけ?)も、如何に自分のやり方を変えずに軟着陸させるかに集中してい
るそうですね。



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