[BlueSky: 3935] アメリカに正気に帰ってもらうための演説を広めよう(前編)


[From] mataro [Date] Thu, 14 Feb 2002 14:53:42 +0900



 こんにちは。遠藤@埼玉です。
 私が加入しているMLに、以下のレポートが流れてきましたので転載します。
 ブッシュの今年の年頭教書に対する、スゥエーデンのヤン・エーベル「平和
と未来学国際財団(TFF)所長の批判論文です。
 2回に分けて送信します。転送歓迎。クロスポストご容赦願います。


(転送ここから)
過日、英文をお送りしたスエーデンの学者のブッシュの戦争教書の演説の翻訳
ができましたので、お送りします。
これを讀んで、いよいよアメリカにもっと冷静に考え直すよう諌める必要を痛
感します。
是非皆さんで、国会議員の諸先生始め、各団体のリーダー、友人各位にお披露
目下さい。
日本をすくうためにも、アメリカが正気に帰るためにも。

ブッシュの戦争教書演説

2002年1月30日
ヤン・エーベル (TFF所長)
Transnational Foundation for Peace and Future Research
(平和と未来学国際財団)

 ブッシュ大統領の一般教書はひじょうに修辞的で、彼は自信過剰と幻想に陥
っている。大統領はアメリカ人の魂を慰めたかもしれない。国会議員たちも総
立ちして、大統領にくり返し熱烈な拍手喝采を送った。私はその演説を聞き、
慎重に読み、そのうえでこの教書を力を込めて分析してみた。では私がこの演
説を心底から好戦的なもの、他人を軽蔑するものと受けとめ、そして世界を害
する予兆だと察知した理由はなんだろうか?
 けっして「反アメリカ的」ではない私たちの仲間でさえ、これまで見聞した
ことによって、自分が疎外されていると感じる人々が多くなっているという事
実について、私たち全員は今アメリカ人と対話を試みる義務を負っていると思
う。私個人について言えば、アメリカが素晴らしく賛美されるなかで育った。
私の親の世代は、常に、アメリカがどれだけヨーロッパを助けてきたかについ
て、マーシャル・プランについて、そしてアメリカの社会、芸術、文学、音楽、
そして奇跡的な経済の躍動性について指摘したものであった。1950年代後半と1960
年代のアメリカは、その当時、何百万の人々によって賞賛された国であった。
アメリカは多くの人々が見上げ、その一員となることを希望する社会と人間性
の理想像を持っていた。アメリカはわれわれの憧れであった。
 2002年のブッシュ大統領の演説はこれとは全く対照的であり、私の心に恐怖
心すら抱かせる。私は深い不安に陥っている。彼の指導力を理想的だと見なす
ことなぞ到底できない。そして、アメリカあるいは他の大国がすべてを支配し
たり、あるいは対等な関係を拒絶するような世界について、私は基本的に良し
とすることができない。

 人をはばからぬ権力の拡大

 演説には謙虚さと自省心、そして他人への思いやりが欠けている。私には俗
悪だと思えるほどに、ブッシュ大統領はひたすら自分の国だけを賞賛する。ア
メリカは今ほど強かったことは一度もなかったし、「われわれ」は戦争に勝利
しつつあり、米国旗ははためき、米国の軍事力を行使した「われわれ」の大義
は正しく、アメリカは勇気と憐れみ、決意、冷静さ、責任を保有している−−
と大統領は強調する。これらすべてが善なるがゆえに「われわれはさらなる善
をもって邪悪にうち勝つことができる」のだと。アメリカ人の特性の奥深くに
彼は自尊心を発見し、とくに悲劇的なことには、「神は身近に在す」と語るま
でになった。アメリカは万人の声明と尊厳を代表する。
 要するに、アメリカこそが唯一の正義であり、アメリカは正義のみをおこな
うというのだ。しかし、私たちのなかでも社会科学者だとか世界中の異なる国
を見てきた人々は、それぞれの社会が、そしてあらゆる社会がどこかに否定的
な一面を持っていることを知っている。ブッシュの一般教書には、たとえば自
国内の暴力の頻発が物語るような、アメリカ社会につきまとうさまざまな問題
が認められていない。9月11日の攻撃による死亡者の10倍ものアメリカ人が
自国の人間に殺されているにもかかわらず。
 第二に、自分の国をこんな口調で語る指導者は世界のどこにもいないだろう。
私たちのあいだでは自分で自分を自慢するには限度があると考えるのだが、ブッ
シュ大統領は自分が自己満足的かつ独善的であると気づいてないように思われ
る。ジョージ・ブッシュは周囲の政策決定者と演説の起草者たち同様、ますま
す自己の世界に閉じこもり、この国の歪んだ見解を持つようになったのではな
いかと、人々は素朴な疑問を抱いているに違いにない。それとも彼らは自分た
ちの力が強大であると信じるあまり、こうした見解を経文のように思いこむこ
とによって、イスラム寺院の寺子屋でコーランを習って何の疑問も抱かない子
どものように、国民もこれを信じるだろうと思いこんでいるのであろうか? 

 ブッシュは自分以外の活動や関係者を認めない

 私はブッシュの演説に最小限の謙虚さも見られないことをただ惜しむのでは
ない。
同盟関係にある諸機関もふくめて重要人物にたいして、感謝の言葉が表明され
ていないばかりか、まったく言及されていない。そのようなわけで、ジョージ
・ブッシュはNATOやEU、OECD、WTOあるいは国連の名をあげることがない。さ
らに彼は人権あるいは国際法にも言及していない。世界の貧困、エイズ、そし
て世界中の恵まれない人々の保健衛生などの問題にとりくむ意思がアメリカに
あるという表明もない。例えば「基本的生活必需品」「世界的な開発」「地球
環境問題」などの表現は、ただの一度も出てこない。
 9月11日に関連してCIAとFBIの不思議な大失態が繰り返されるのを回避する
ために、ブッシュ政府がなにをしようとしているかについても聞けなかった。
実際、学校について語った以外には、アメリカ社会や政治制度の改善について
一言も触れなかった。
多国籍企業(MNCs)への経済力の集中とか、あるいはかつてアイゼンハワー大
統領が勇気をもって問題にとりあげた軍産複合体についても、なんの言及もな
かった。あげくには民主主義という言葉もなかった。

 問答無用に脅威とその解決策を決定

 次に、アメリカの利益と世界の利益が故意に混ぜ合わされていることだ。換
言すれば、アメリカ的な価値観こそ普遍的であり、それを受け入れないところ
では受け入れられるようにすべきだという信仰である。これはブッシュ大統領
の演説のまぎれもない投影であり、使命感、あるいは帝国主義的な側面と言っ
てもよいだろう。彼はまた、他の活動を含めて、とくに「世界中にアメリカの
憐れみをほどこす」<自由部隊>を新たに創設することをも宣言した。それは
「イスラムの国々に発展と教育とチャンスを促す」だろうというのである。
 大統領はまた世界のいたるところにアメリカ的な正義の理念を広めるのだと
言うが、その世界というのは互いに連携する国際社会でも、国連のことでもな
い。「われわれの軍隊は、米国のあらゆる敵たちに今や明確なメッセージを伝
達した: たとえ7000マイルも離れ、大洋や大陸に隔てられ、山中や洞窟に潜
んでいようとも、お前たちは米国の正義から逃れることはできない」。このこ
との意味は、アメリカ外交の統率者が敵を選別しさえすれば、アメリカが正義
を実行する(法的にも、政治的にも、心理的な意味でも)というものだ。それ
はただ、アメリカの正義が敵国の法律だけでなく国際法をも無効する、という
意味に解釈するしかない。
 世界を脅すことはアメリカを脅すことでもある。アメリカにとって有害なこ
とは、世界にとって有害なことである。だから、ワシントンの指導部によれば、
アメリカは脅威にさらされる者を守る義務と特権を持っている。脅威を定義し、
その対策と優先順位を決めるのもアメリカである。ありったけの経費をかけて
自国と世界を守るのだろうと理解される。世界についての認識と解釈について
ブッシュ大統領とは違った考えをもつような者たちには、「もし彼らが行動で
示さないなら、アメリカがやるだろう」と警告する。こんな警告もある。すな
わち「すべての国は知るべきだ。米国は米国と同盟国を襲撃から守るために必
要なことをすべて実行するつもりだ、と」。世界はこのことから告知されたの
である; 問答無用だ、と。
 すなわち、このことは、これまでただの一度も間違いを犯したこともなく将
来も間違いを犯さない、したがって論理の帰結として、他人のことでも何が最
良なのかを知っている基本的に無謬の国の判断に照らして理解されねばならな
いと言うことである。
こうなるともう、他の者たちと話しあう必要さえもない。
(転送ここまで)

 前編はここまで。
 後編に続く。


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