[BlueSky: 3886] Fwd: 鉄・Mnバクテリア法で水道水造り。その後をお知らせします。


[From] Kimio OTSUKA [Date] Fri, 18 Jan 2002 10:22:19 +0900

管理人グループの大塚です

 殿界さんからの投稿が3回ほどエラーとなって管理人の方に転送されま
した。原因がつかみきれないので、とりあえず私から転送します。

なお、エラーのために(?)改行が乱れておりましたので、こちらで入
れ直しました。間違っていたらご指摘下さい。

-------------------ここから

 To: "環境自由大学青空メーリングリスト" <bluesky@sv2.humeco.m.u-tokyo.ac.jp>
 Subject: 鉄・Mnバクテリア法で水道水造り。その後をお知らせします。 


   鉄・マンガンバクテリア法で水道水を造る(浄水処理)。 そ
の後をお知らせします。

  中澤 港さん,相澤よしゆきさん はじめまして。
  私は地下水を原水とする水道の現場技術者で,殿界 和夫(とのか
い)といいます。
  中澤さんから相澤さんへのメールで,『小島貞男NHKブックス
「おいしい水の探求」 を取り上げて,鉄バクテリア・マンガン(Mn)
バクテリアによる水道水造りについて, 微生物の可能性について問いか
け』をされていました。(bluesky:1046)

  この鉄バクテリア・Mnバクテリア法は相澤さんが答えておられたよ
うに,地下水(大腸菌を検出しないこと)向けに適した処理法です。酸
化に用いる塩素や,凝集剤が不用となり,攪拌池・フロック形成池・凝
集沈澱池も要らず,省電力,省エネ型のエコシステムと言えます。
 近年,この鉄・Mnバクテリア法浄水処理の現場実験が繰り替えされ,
さらに「生物接触ろ材」のタイプも砂とは異なる「ろ材」が用いられ,
著しく処理性能が向上してきました。

 1960年代から1994年まではろ過流速が30m〜70m/日と
いう中速ろ過でしたが,1995年の実験でろ過流速は150m/日の
急速ろ過レベルに技術的な進展を見せ,2001年10月には奈良県大
和郡山市の浄水場(9800t/日)で,ろ過流速300m/日の高速
ろ過,接触時間10分で,原水の鉄4.5mg/l ・ マンガン0.5
mg/l ・ アンモニア性窒素0.6 mg/lという濃度においても,
除去率98%を持続する施設が竣工しました。
 この施設が現在のところ最も高効率の鉄・Mnバクテリア法浄水処理
システムです。 

 しかし,このような高速ろ過,高効率の接触時間でマンガンが何故,
処理できるのか,あらためて検討を加える必要性も出てきました。Mn
の生物接触酸化のメカニズムについて記述した文献・論文などが,どこ
にあるのか,研究者が少なく,現場サイドだけでは解決できていません。
もし,青空メーリングリストの専門の方で,Mnバクテリアの研究や酸
化メカニズムについての文献,研究資料を探しています。その所在を紹
介していただければと思い,メールしてみました。(なお,私は水道人
なので,小島貞男,八木正一のお二人とは連絡がとれます。) 資料所
在の可能性など,ご存知の方はメールください。
 
 2002年1月現在で,鉄・Mnバクテリア法は全国で13浄水場に
導入され,徐々に増加 しつつあります。またJICAはベトナム,中
国,バングラデッシュ,エチオペアなど,水道普及率の低い八ケ国の政
府関係者や専門家の視察団に城陽市の浄水場を紹介しています。
 
 鉄・Mnバクテリア法浄水処理について,私も執筆者の一人ですが,
月刊「環境技術」12月号(環境技術研究協会発行)が詳しい特集を組
んでいます。また,読売新聞(2001年12月27日付け)の「e−
ライフ」欄で大きく紹介されました。
 
 私は水道の現場技術者で,地下水の水質化学と浄水処理の仕事に携わ
って,今年で勤続32年目を向かえます。定年まで鉄・Mnバクテリア
法を成長させるために力を尽くすつもりです。
 青空メーリングリストの さまざまな関係者の方の,「ろ過の前処理
としての鉄・Mnバクテリア法浄水処理システム」への注目と,活用す
るなかで,処理システムの技術的な成長・開発に力を副えて頂けること
を期待しています。
 
 インターネットで鉄バクテリアについての170件の検索中に,環境
自由大学・青空メーリングリストの中澤−相澤メールを見つけ,今日,
メーリングリストに参加登録しました。
 今後とも よろしくお願いします。

   殿界 和夫 (高槻市水道部水質係/日本地下水学会)
 メールアドレス  tonokai@triton.ocn.ne.jp

--------------ここまで--------------------

大塚公雄 <otsuka@inst.i-mde.tmd.ac.jp>
東京医科歯科大学生体材料工学研究所
101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-3-10
Tel: 03-5280-8092  Fax: 03-5280-8094


▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。