[BlueSky: 3824] リスクセンス Re:3714,3705  プリオン不活性化


[From] Minato Nakazawa [Date] Mon, 26 Nov 2001 14:17:54 +0900

中澤@東京大学人類生態です。

昨日までの3連休は3日連続の会議で,「開発が地域社会に及ぼす
影響とその緩和方策」というテーマでディスカッションしていまし
た。

その懇親会のときの雑談で,とある人類学者に,[3714]で書いたよ
うに「nvCJDなんて最大限の見積もりでも累積発症者数が数十万人
だから毎年100万人以上が死んでいるマラリアに比べたらリスクは
低いんだし,食肉をELISAやウェスタンブロットで全頭検査したら
検査自体の廃棄物による環境負荷もある」という話をしたら,マラ
リアは熱帯の病気だから関係ないと思っている人が世間には多いし,
自分の身近にふりかかってくる危険には過敏に反応してしまうのだ
ろう,という意見を貰いました。

ちょうど,このところ,人は何を根拠に意思決定をするのだろうか
という問題を考えていたので,マスコミが大きく騒ぎ立てるのがい
けないんじゃないかと言ったら,いや,おそらく人の意思決定の根
拠にする情報源は同心円状になっていて,自分の周りの身近な人の
判断に倣うのが最優先で,次にその周りの人,次が世間という感じ
ではないかと言われました。

このやりとりは,実は,[3714]を書いた後で,とある方から私信で
いただいたご意見に対するやりとりと,ほとんど一致していたので,
確かにそうなのが現状なのかもしれないなあ,と思いました。

しかし,そうは言っても,やはりこれからは,誰もが情報を選別し
て,客観的で定量的なリスク評価をできるようなメディアリテラシ
ーをもって,自分で判断できるようにならなければいけないのだと
思います。

そう考えていたら,今日,安井至さんの「市民のための環境学ガイ
ド」に掲載された記事で,「リスクセンス」*という表現を知りま
した。要するに,ぼくが言いたいことも,一人一人の市民がリスク
センスを磨かねばならない,ということです。問題は,どうやった
らそれが実現できるか,ということなんですが……。

* http://plaza13.mbn.or.jp/~yasui_it/RiskSense.htm

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Minato Nakazawa, Ph.D. <minato@sv3.humeco.m.u-tokyo.ac.jp>
Department of Human Ecology, Univ. Tokyo
[WEB] http://sv2.humeco.m.u-tokyo.ac.jp/~minato/index-j.htm


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