こんにちは。遠藤＠埼玉です。
環境NGO、ASAP21の主宰したセミナーの模様をレポートします。
エコトークPart3
サラワクの熱帯林と先住民
講師:峠 隆一(ジャーナリスト)
場所:環境パートナーシップ会議室
日時:2001年9月28日(金) 19:00〜20:30
内容ですが、プランテーションでこき使われている先住民の現状を知らせる
ことに力点が置かれているようでした。
峠さんは'89年を皮切りに過去16回現地を訪問し、今年も3〜4月にかけて行って
来たそうです。当時はマスコミが盛んに「熱帯林を守れ」というキャンペーンを
やっていたそうです。その時は市民運動団体も積極的に動いていたようですが、1〜2
年もたつとそれらの運動も報道も下火になってしまったそうです。原因として、
当時のNGOは情報収集も発信もできず、また地方ではそれらの情報がなかなか広
がらなかったということがあるそうです。
さて、プランテーションですが、マレーシア本土のそれと、サラワクにあるそれ
とは、待遇などが全く違っているそうです。本土のプランテーションは給料もよ
く、児童労働などの不当労働問題もないそうです。
ですが、サラワクのプランテーションの実態はかなり悲惨な状況だそうです。
まず第一に、児童労働が平気でおこなわれていること。
そして、基準を超える農薬が大量に使われていること。
また、反対運動に関する弾圧も猛烈なこと。
児童労働の問題ですが、8歳、9歳といった小学校に行っているはずの児童がプ
ランテーションで働いていること。子ども達はむろんのこと、そこで働いている
大人達も、ほとんどがプランテーションの外の世界を知りません。100年以上も
そこに住んでいる一族もいるそうで、子ども達も、自分たちがいったい何をやっ
ているのかわからないまま働いているのが現実だそうです。
賃金も低く、家族総出で働いても日本円で10.000円しか稼げないそうです。
マレーシアは農薬規制が世界一と言っていいくらい甘く、サラワクのプランテー
ションでは現在では使用禁止になっている農薬が平気で使われています。中に
は、アメリカがベトナム戦争で使ったという農薬も平気で使われているそうで
す。当然、他の国では使えない農薬です。パラコートという農薬の売り上げが高
く、農薬被害は後を絶たない。爪が割れたり、生理不順、喘息などの慢性疾患に苦
しんでいる。プランテーションで働いている女性50人を調査しましたが、健康な
人間は2人だけというデータもあるそうです。農薬を浴びて死んだ人や、下半身
不随になった人間もいるそうです。
プランテーションは広大な土地が必要です。そのため、業者は村長と会談して
飲ませ食わせやで甘い言葉でだまして強引に計画を進めたり、、抜き打ち的に土
地や林を破壊したり、はてはギャングなどを使って村人を暴力的に押さえたり、
ということもやるそうです。
当然、村人とのトラブルも頻発する。'97年12月には、プランテーション反対運動
をしていた村人達に警官が発砲、1人が死にました。'99年9月には、たびたびプラ
ンテーション開発会社から嫌がらせを受けていた村人達と会社に雇われたヤク
ザが乱闘、ヤクザ4人が死にました。村人22人が逮捕されたが全員無罪を主張、結
局1人だけが懲役2年の有罪判決、あとは無罪になったそうです。有罪になった人
は75歳の老人で、獄中生活に耐えられるのだろうかと峠さんは心配していまし
た。
来月、サラワクのプランテーションの実態を報告するため、現地の人間が来日し
ます。現地の人がやってくるのは7年ぶり。というのも、以前現地の人が実情を報
告するために来日したのですが、帰国直後にマレーシア政府が彼らのパスポー
トを没収するという嫌がらせをしたから。今回パスポートがもどってきたので、
来日できるのだそうです。
サラワクのプランテーションで作られているのはパーム油だそうです。
この油はマレーシア一国だけで全世界の半分を生産しているのだとか。宗教の
関係で、イスラム圏でかなり使われているそうです
生産する側からすれば、パーム油は収穫が安定している上、品質も安定している
そうで、生協でもパーム油を使った製品が扱われています。
ですがプランテーションは先住民の権利を奪い、森も復活しません。そして最
大の問題は、農薬をたくさん使うということなのです。これは一種の自然破壊で
しょう。そのため、これ以上現地にプランテーションはいらないと運動すべきと
峠さんはいっていました。
それでは、報告は以上です。
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遠藤嘉則 Yoshinori Endo
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