尼崎市の一ノ瀬です。
横山さん#3657<
最後に考えたくないけど、不吉な予言を一言、私が相手ならもう空なんか見ませ
んね。本当の危機は足下。水ですね。比較的手薄で、大人口を抱える水源にPu
とか入れられたら恐ろしいことになりませんか?しかも分かったときにはもう遅
い。
>
この"Pu"というのは、プルトニウムのことでしょうか?もしそうならば、ご
心配には及びません。
1)テロリスト達は、まず間違いなくそんなことはしません。
2)もし、kgオーダーの量のプルトニウムを実際に放り込んでくれたとしたら、
むしろ大いに喜ぶべき事です。テロリスト達は、原子爆弾を作る機会を失ったわ
けですから。
プルトニウムの毒性の程度を念頭に置くと、このような結論になります。
故高木仁三郎氏の本を読む限り、プルトニウムの”毒性”は、急性毒性ではあ
りません。「ある日突然、人々がバタバタ倒れる」などという、恐怖を煽るのに
打ってつけの状況は作り出せません。
プルトニウムの毒性の実態は発がん性であって、取り込んだ後、5から10年
以上かかってガンに結びつきます。
それも、高い発がん性が疑われているのは、微粒子として肺に吸い込んだ場合
です。微粒子が吸着した周辺のみ、局所的に長期間に亘ってダメージを与え続け
るため、同じ量の放射線を均一に被曝した場合よりも”何万倍も危険かもしれな
い”と言われています。
水源にプルトニウムを投じ、水に溶けた状態で人体が吸収した場合は、吸収経
路が異なり、被曝形態は均一被曝になるので、プルトニウムだから特に危険だ、
という話は成立しなくなります。通常の放射性物質による体内被曝と同一基準で
考えて、危険度を見積もることが出来ます。(このように、同じ発ガン物質であ
っても、人体への吸収経路によって発ガン性に大きな差が出ることは、一般的な
現象です)
しかもたとえ肺から吸い込んだ場合でも、”何万倍も危険”という話自体、か
なり怪しい面があるので、実際にやってみたら全然期待外れだった、と言うこと
が十分にあり得ます。
こんな不確実な作戦に、貴重なプルトニウムを使うとは考えられないわけで
す。
なお、東京の多摩川水系のダムを例に、流域住民がどの程度被曝してどの程度
危険なのか、概算してみました。
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1.ダム貯水量
利根川水系のダムの貯水量は、矢木沢ダム11550万m^3 奈良俣ダム7200万m^3
等、合計で34349万m^3
貯水率が30%程度まで下がった渇水期を狙った場合でも、1億m^3の水を汚
染する必要がある。
2.汚染持続期間
基本的にはダムの水は入れ替わっているので、長期間汚染させ続けるのは無
理。
せいぜい、10日か? しかし、一旦大雨が降れば、1日で汚染水は推し流さ
れてしまうこともあり得る。
3.汚染濃度及び人体被曝量
10kgのPu239を何らかの形で貯水池の水に均一に溶け込ませ、途中の
浄水過程で一切それが失われることがないと仮定する。
取り込んだ水に含まれるプルトニウムからのα線は、全て人体に吸収されると
仮定する
この場合、
Pu10kgの出すα線は、1年間の積算値で、3.3×10^5Svに達す
る
水の総量は1×10^11リットルである
水1リットル当たりでは、1年間同じ汚染度の水を飲み続けたとしても、0.
0033mSvにしかならない。
実際にはせいぜい10日間、汚染を持続できるだけだろうから、0.0000
1mSvに満たない値にしかならない。
4.結論
一般人が自然界に存在する放射線源から被曝する線量は年間1mSvであり、
Pu投入による被曝量増加は、これに比較してあまりに小さい。
Puは、放射性を除けば、化学的にはCaと似通った性質を持っており、自然
界での濃縮は考えにくい(もしそんなことが簡単に起こるのなら、放射性物質の
回収が容易になって便利だが、、、、)
健康被害は、いかに高精度の疫学的調査を行っても、検出不能であろう。
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ちなみに、前にも書いたことですが、発がん性については、他の何物にも増し
て、タバコがケタ違いに強烈です。
喫煙者の発ガンリスクを、放射線被曝で再現しようとすると、ヒロシマ、ナガ
サキ並の被曝が必要になります。
プルトニウムの心配をする前に、喫煙者を抹殺するジハードをやった方がいい
んじゃないでしょうか、、、、
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