[BlueSky: 3650] Fw:[ の ] ニューヨークの事件について


[From] 森本研吾 [Date] Wed, 19 Sep 2001 16:55:37 +0900

森本と申します

ずっと以前から参加しているのですが
発言なしで、失礼しました。

また、突然ですが、
私のHP(http://plaza.harmonix.ne.jp/~ken5/
にアクセスしてくれた人の間で作っているMLで
今回のテロ騒動に関してやりとりされた議論のうち
一部を転送させてください。


From: 森本研吾 <kengo@olive.zero.ad.jp>
To: nobitas@egroups.co.jp
Date: Mon, 17 Sep 2001 18:59:02 +0900
Subject: [の] ニューヨークの事件について
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今回のテロについて
Kさんの意見など別の機会に読ませていただき
私の感覚は少し世間からずれているのかな?と
感じましたので
私の意見を書いておこうと思いました。

まず、最初に私が感じたのは
一票の格差以上に甚だしく大きい
人間一人の命の重さの格差でした。

もし、こういった数千人規模のテロが
アフリカやアジアで起こっていたら
ちょっとした記事が新聞に載るだけで
ほとんどの日本人は起こったことも知らないでしょう。
そんなことは今まで無数にあったし
現在でも毎日毎日大勢の人が、飢餓や戦争やテロや
何やらで死んでいっています。

その中であの事件がたまたまアメリカで起こったという
だけで、一日中テレビがその事件を報じ続け
大規模な軍事行動を起こして、世界中を揺るがすような
大騒ぎとなっています。
いったい、この命の重さの違いをどう考えれば
いいのだろうか?
そういう思いでした。

ところで、その前に、今回のテロの原因をどう考えるべきか・・・
よくパレスチナの問題や、アラビアに対する多国籍軍の駐留が
引き合いに出されます。
実際のところ彼らの意識の中でどうなっているかは
わかりませんが、私の感覚では、それらは単に
資本主義社会に生きる人間がわかりやすい皮相的な理由だから
簡単に伝わっていくだけで、根本的なところは
もっと、表現しにくい根深いものがあると思っています。

まず、第2次大戦後の世界のあり方を
いくつかの例から考えていきます。

まず、戦後のどさくさに紛れて
アメリカや西欧列強は各国の民主的でしっかりした
勢力をつぎつぎと倒して行って、自分たちの言うことを
聞く奇妙な軍事独裁&傀儡政権を打ち立てていった
歴史があります。
これは、共産主義との対抗上という事情も大きいですが
一つ一つの例について細かい時間関係を考えていくと
むしろ企業利益のためというのが第一の理由だと思われます。

まず、比較的情報が広まっていてわかりやすい例として
ベトナム戦争を上げます。
これは、戦争後、再びインドシナを植民地に戻そうと
考えたフランスがベトナムに攻撃を始め
それに対して、大戦中から次第に人々の人望をあつめ
素晴らしいリーダーに育っていた、ホーチミンを
中心に祖国を守る戦いを始めました。
それに目をつけたソ連がホーチミン側を援助することで
次第にベトナムは社会主義に傾いていきます。
で、フランスの国力ではこの戦争に耐えられなくなって
あきらめて撤退していったとき、共産主義への
対抗上、戦争を受け継いで、泥沼の戦いに入っていきます。
このとき、アメリカは南ベトナムにグエンバンチューという
まるで人望もない適当な軍人を大統領に据えて
民主主義国家という看板をつけて、実際上は軍事独裁みたいな
政権を作ります。

このように、先進資本主義国の思惑が外れてしまったのは
おそらく、ベトナムとキューバの2例だけで有名になりましたが
他の多くのところでも、これと同じような企てが
ニュースにならないぐらい速やかに成功しています。

例えば、フィリピンでは、抗日戦争で、アメリカ軍と協力して
勇敢に戦い、とてもよい自治組織を作り上げ
誰もが、次のフィリピンの政権の担い手と考えられた
フクバラハップ団というグループが居ました。
ところが、レイテ沖海戦後、日本軍が撤退し
マッカーサーが戻ってきたら、アメリカ軍は
この昨日までの仲間だったフクバラハップ団に
手のひらを返したように猛攻撃を加え、山の中に
追い詰め壊滅させてしまい、
その後に、マルコスという軍事独裁のどうしようも
ない大統領を据えて、むちゃくちゃな政治をさせ
それが、今日までにいたるフィリピンの政情不安と
悲劇の原因になっています。

また、キューバでは、最初はカストロとアメリカは
とても仲がよく、人望のある立派な指導者として
カストロを考えていました。
ところが、カストロが、奴隷制度の廃止と
農地の自由化に踏み切ったとたんにアメリカの態度が
豹変します。
キューバにはアメリカ南部の地主が広大な農地を
所有し、キューバ人の奴隷を
使うという構造が広がっていたため
農地解放はアメリカの農民の不利益になります。
そのため、農地解放が始まると同時にアメリカは
カストロを極悪人呼ばわりし、軍事侵攻を
企てます。
ところが、その事態をチャンスと見た
ソ連がカストロに接近し、手厚い援助を行い
とうとう最後には、アメリカに対する威嚇的な
意味をこめて、キューバに核兵器を配備したことにより
アメリカの侵攻からキューバを守り、キューバは
無事、奴隷制の廃止に成功します。
その過程の中で援助してくれたソ連に近づいて行き
キューバは共産主義国となります。

同じような形で、アメリカやヨーロッパは
アジア・アフリカ・中南米において
次々と、まともな民主的勢力を倒しては
妙な軍事傀儡政権を打ち立てて行きます。

そうやって、地固めを行っておいて
つぎに、その簡単に言うことを聞く傀儡政権のもとに
援助と称して、今日の世界の不幸につながる
めちゃくちゃな資本注入を始めます。

企業が伸びるには、一番必要なものは需要です。
資本主義社会では、巧妙な宣伝を行ったり、人々の怠け心や
習慣性に訴えたりして、なんとか、不必要なものまで
買わせようとします。
人間が必要なものだけ買っていたのでは、
企業が成長することができません。
次に必要なことは原材料をなるべく安価に手に入れることです。
ところが、このころの欧米企業は言うことを聞く
傀儡政権の首根っこをつかまえながら
なんでも、いいなりに、売り買いさせていました。
たとえば、ヨーロッパのE国のある企業が
アフリカのA国にダムを作りたいとします。
そうすると、E国は国際援助と称して
いいなりになる傀儡政権に働きかけて
ダム建設を簡単に決めさせてしまいます。
通常の民主的手続きを踏んでいてはそう簡単には
行かないところを、傀儡政権を使って簡単にパスします。
しかも、その傀儡政権は、外国には傀儡でも
国内では軍事独裁政権なので
水没地区の住民を強引に排除したり
抵抗する人々を殺戮したりなどと、一番大変なところは
その国の政府にやらせます。
E国やその建設会社は、自ら手を下さずにテロリズムを行っている
わけです。こういった構造による犠牲者は
何万人を下らないでしょう。
そうすることによって、E国から
国際援助という名目で税金がA国を経由して
その建設会社に流れ、建設会社が儲かります。
そして、A国には必要性や収益性に関して何の検討もしていない
ダムが社会の他の部分と調和しない形でポンと出来るとともに
多額の債務を背負い込むことになります。
人々の生活水準を基準とした為替レートから考えると
たかがダムでも、その国の通貨に換算すると膨大な借金になります。
そこにIMFが乗り込んで来て、債権取立てのために
財政指導とか言って、その国の政策を勝手に動かし始めます。
例えば、借金を返すために、コーヒーなどの商品作物を作りなさい
となります。
そうすると、その国の傀儡独裁政権と結びついている
一部の特権階級が、大規模なコーヒー農園を作るために
政府が軍隊を出して、もともと生活していた農民を
追い払って、広大な土地をその特権階級の農園に
してしまいます。
こうしてコーヒーをつくって得た利益は
ごく一部は、傀儡政権や特権階級に流れて
一部の人間を潤し金持ちにしますが
大半はダムや道路や港湾やらの代金として
先進国に流れていき、その国の国民にはほとんど
利益をもたらしません。
しかも、その過程の中で、援助と称して作った
ダムや道路や港湾は、先進国がコーヒーや木材や地下資源など
その国の資源を効率よく、収奪し、効率よく
先進国へ運送するのに大変役に立っていきます。

そして、その過程で、無理やり軍隊を使ってもともと
生活していた土地を追われた農民たちは
残っているよりやせた土地に集まって
密集するようになり、もともとやせた土地を
ますます収奪して、土地をダメにしていきます。
サハラ砂漠の拡大による環境問題は
こういう構造が一つの重要な原因になっています。
これはエチオピアなどに典型的に現れています。
その他熱帯林の破壊など、多くの地球環境問題が
こういうところに根があります。

ところで、ますます大規模な収奪をしたい
国際資本は、それぞれの国のバラバラな援助じゃ
面倒なので、世界銀行という、開発援助銀行を作り
各国の資金をプールして、途上国を好き勝手に
いじるためのシステムを作り上げます。
日本はなんだかよくわからないまま、
最初のうちは、欧米からの圧力のもとに
多くの資金を世界銀行に預け、欧米の企業が
途上国から収奪するのを助けていましたが
そのうちに、その構造がわかり始めると
自らうまい汁を吸おうとして
ODAという大規模な予算を作って
主に東南アジアをターゲットに大規模開発を
始めます。
もっとも、日本の被害をこうむっているのは
フィリピンです。
フィリピンも最近は政権がいろいろに
変化しているので、現在の事情はよくわかりませんが
少なくともつい最近までは
フィリピンの軍隊が地元住民を排除したり
虐殺したりして強制的に取り上げた土地に
日本企業がODA予算で入って、港湾整備
工場団地整備、さらに工場建設を行い
極めて安価に手軽に土地を取得しながら
現地の安い労働力で、公害垂れ流しの極めて
コストの安い生産体制を整え、大きな利益を上げられる
形にし、しかも、それに関わる費用は
ODAという形で、日本の税金から出て行き
さらに、その政府の出費はフィリピンの開発に対する借金と
日本の国債という形で負債が残り、
関わった企業は丸儲けという構造による
開発が次々と進んでいました。

こういった例は、書き始めると、
これも言いたいあれも言いたいと頭の中に
次々と浮かんで揚げていけばきりがないほど
無数に出てきますが、きりがないので
このぐらいで、置いておきます。
また、こういう、先進国が計画し、
その国の政府が実行犯になっている、テロリズムの
被害者は何億人という数に登るだろうと
思います。

ところで、こういったテロによって殺されたり
先祖代々の土地を追い出されたりした
住民たちにとって、そういった国際的なカラクリは
大きすぎて見えないし、直接の実行犯である
その国の政府やその民族に対して怒りが
向けられます。
そこで、各地に○○民族解放戦線みたいな
形の反政府組織が作られ、あちこちで内戦が
頻発し、血みどろの戦いが発生するようになります。
欧米の武器業者はそれによりますます利益を上げます。
本来ならこんな傀儡政権は簡単に倒れるようなものですが
欧米の利益につながる傀儡政権に
欧米諸国が手厚く軍事援助・資金援助をするので
いつまでも血みどろの内戦が続けられます。
日本は馬鹿みたいに、こういった欧米諸国の
援助にわけわからず、正義とかお付き合いとか思って
大金を出していきます。
また、欧米のでっち上げで、傀儡政権に
祭り上げられた特権階級は
利益により結びついているだけの階級なので
やはり、同じ民族は優遇しようとします。
で、もともと劣悪な状況の中の資源の奪い合いで
他の民族はますます不利に立たされるので
これが各地で頻発する民族紛争につながっていきます。
また、先進国政府はそういった民族紛争を
わざと企業進出に利用しているようなところが
あります。
これは、土地所有の法的な概念などない
素朴な部落民に、あるときわけもわからず
妙な登記簿にサインさせ、土地の所有関係を
めちゃくちゃにして、わざと民族紛争を起こさせ
そこにアメリカの企業が乗り込んで
どさくさに紛れて、その土地をせしめてしまう
というような形で利用したりしています。
こういったところにも、傀儡政権を存分に利用しています。

そんな、こんなで国際資本の利益追求の犠牲になって
やり場のない憤りを抱えた人たちが、世界中で
紛争やテロを起こして、むちゃくちゃな状態に
なっていますが、人々は余りにも複雑なカラクリで
それらの元凶がアメリカ・ヨーロッパ・日本と言った
先進国に有ることに気づかないか
もしくは、気づいていても、これらの諸国の
圧倒的な軍事力・経済力・工業力の前に成すすべもなく
無気力になり、手近なターゲットである
実行犯の近隣民族に不満の捌け口を求めている
というのが世界の姿だと思います。
その中で、ラディン氏などは、直感によってか
もしくはもう少し具体的な情報によってかは知りませんが
そういった、先進国による支配構造が
見えていて、こんな風に仲間内で戦っていては
まったく問題の根本を誤る、
と考えるだけでなく、勇敢にも世界を敵に回して
世の中を改めようとしている稀有な
人物のように僕には写ります。

もちろん、彼らのやっている方法は間違えています。
憎しみは憎しみを生むだけだし
むしろ、こういったことを広く世論に訴えかけて
先進国に反省を促すのが本当に正しいやり方だと
思います。
しかし、一方で先進国の2割の人間が地球上の8割の
資源と生産物を消費し、8割の人間が残りの2割で生きている
という状況、また世界の人間の50%が栄養失調
というひどい現状を見たとき、
そんなのんびりした気持ちにもなれなくて
何か決定的な行動をとりたくなるのもそれなりに
許せる感じがします。
少なくとも、僕は彼らをむやみに非難したり
攻撃したりする気にはなれません。

実際アメリカは5000人程度の人が殺されたことで
憤りまくって、民間人を巻き添えにするのも構わず
徹底的な報復行動に出ると息巻いています。
彼らも同じことを感じているのです。
今、世界にはそういう憤りが渦巻いています。
そして、ここまで来てしまっては
みんなを満足させる解決なんてありえないと
感じます、そして、過去は捨てて我慢して、
平和を築きあげていくしかないと思います。
その中でアメリカの取るべき道は
報復などという新たなテロリズムの連鎖の拡大ではなく
我慢して、今の世の中の矛盾を見つめなおし
世界の規範となるとともに、
テロリズムの本当の原因を取り除いていくことだと
思います。


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森本研吾 <kengo@olive.zero.ad.jp>


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