[BlueSky: 3597] RE 2 :3594 東大平和学ゼミ Part 8「開発・環境を平和学から考える」


[From] "Takashi Goto" [Date] Sun, 19 Aug 2001 11:39:27 +0900

須賀さん、遠藤さん

後藤@環境NPO研究会です。こんにちは。

須賀さん:
> 国際協力銀行の環境ガイドラインはこちらにあります。
> http://www.jbic.go.jp/japanese/environ/index.html
>ご報告にあったような問題を生じるのはこのガイドラインそのものに
>欠陥があるのか、それとも運用に問題があるのか...

ぼくはこのガイドライン策定過程を、中途からですがNGOサイドから
横目で見てきました。直接参加ではありませんので、より詳しいことは
地球の友さんに聞くといいと思います。 → http://www.foejapan.org

一つ大事な点は、ガイドラインはまさに今策定中、しかも最終段階であ
り、その作業を行なっているのは「国際協力銀行の環境ガイドラインの
統合に係る研究会」だということです。
http://www.sg-egl-jbic.org/

この研究会は、JBICの業務プロセス全般にわたって、どういう環境配慮
のあり方が望ましいか議論して、その提言は相当詳細なものです。
これを受けて、最終的にJBIC本体がガイドラインを策定します。
画期的な内容ですが、NGOサイドから言うと、JBICの融資体制等
による制限など、十分に意見が反映されなかった部分もあるようです。
それでも、策定のぎりぎりまで、JBICと対話の場を設けてきちんとした
話し合い、論点が食い違っている部分のすりあわせを行なってきた
NGO側の取り組みは、根気と実力のたまものだと感じています。

NGOサイドの正式な名称は「ガイドライン策定に向けたNGO・市
民連絡会」で、、99年11月に「地球の友」や「メコン・ウォッチ」など、
JBICの統合ガイドライン策定に関心を持つ環境NGO/NPO・個人
の連合体として発足しました。
日本輸出入銀行と海外経済協力基金が統合して、JBICとして生まれ
変わったのを機に、そこで「策定されるであろう」統合版の環境ガイドラ
インを、少しでも良いものにしよう、という先取った動きでした。

主に、情報公開と市民参加の拡大、環境スクリーニング・アセスメント
の強化、人権と持続可能な社会への配慮、最低限、国際的水準を達
成すること――の4原則に基づいて、JBICの統合ガイドラインが十分
な内容となるよう提言をまとめ、関係省庁への働きかけなどを行ってき
ました。
すでに「ガイドラインの目的・原則に関する意見書」や、「スクリーニング
手続きに関する意見書」を提出しています。また、特筆すべきは、JBI
C本体と共同でシンポジウムを開催するなど「つかずはなれず」の緊張
感を持ったパートナーシップを築いていることです。
ぼくは会合等にも出ましたが、他のアドボカシーではなかなか見られ
ない成功例に見えました。まだ結果は出ていないので予断は許しませ
んが。

提言や意見についてはホームページ上での市民パブリック・コメントを
募集して、メールニュースや各種掲示板の書き込みなど、相当アウトリ
ーチにも努力していました。MLもあって、ぼくも意見など言わせていた
だきました。残念なのは、相当分かりやすく、広く広報されたのに、特に
マスコミがサボって、それほど大きく取り上げなかったことです。専門紙
は取り上げていましたが、マスコミさんは、情報がマメに来て、しかも
担当の記者にやる気があっても、上でカットするようですね。専門紙記者
の立場から言わせてもらえば、マスコミと呼ばれる大手新聞社のデスク
以上は、最終的には経済界、政府を向いて掲載判断していると感じます。
記者はいいんですが。記者は。

最後になりましたが、こうした純然たる政策提言とは別に、地球の友
(ぼくらは「ちきとも」と呼んでますが)のような国際NGOは、当然現地
の視察や反対運動、時には直接的な抗議運動もしたりして、外務省前
で垂れ幕を張っていたりもしました。にもかかわらず、NGOとの対話を
中断せず、HPにリンクまで貼った研究会等のJBICサイドの態度は、国
際的にはあたりまえとはいえ、日本では珍しいので評価されてしかるべ
きだと思います。

...と、JBICへのちきともによる政策提言=アドボカシーの背景と経過
はこんなところだと思います。

ではでは。

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後 藤   隆 [ Takashi Goto ]
E-mail: takapi-@sf6.so-net.ne.jp
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