[BlueSky: 3592] 虫は虫なり (戦争とは。。。)


[From] "gengorou" [Date] Fri, 17 Aug 2001 23:18:14 +0900




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虫は虫なりに一つの考え(戦争とは。。。)
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【死を知ってしまった動物】

その昔、人間は、自己の存在を知った時、自己の消滅(死)を知り、
「死の恐怖を獲得」してしまった。
自分の存在を知らず、消滅することすらしらないシマウマが、ライ
オンに腹を食いちぎられ、死に瀕しても「死の恐怖」はないけれど
も、死を知った人間は、ライオンに喰われることがない時でも、ラ
イオンに喰われ自分が消滅することを怖れる。

【自らの消滅をかけた戦い】

この様な「死の恐怖」を持った人間が、自らの死をかけた殺し合い
の競争を行ったら、人間は人間的な存在として振る舞うことなどで
きないのではないだろうか。
戦争は、人間にとって最も大切な命、そして、もっとも大きな恐怖
である自己の消滅をかけた競争。この競争には、「サッカーゲーム」
の様な審判員もルールもない。。たとえ審判員がいても、あるいは
ルールがあっても、「死をかけたゲーム」においては、人間はそれ
に従うことなどできるのであろうか。。

【死のゲームと人の振る舞い】

「死のゲーム」である紛争や戦争で、人間にあるまじき行為をした
と、人は人を裁こうとするが、一体、誰が、「死をかけたゲーム」
で、人間的な振る舞いができるというのか。。

男の首をはねた。目をくりぬいた。両腕を引きちぎった。性器を切
った。はらわたを引き出した。などなど、「死の恐怖」の中では何
でも起きてしまうのが、当然と考えなければならないのではないだ
ろうか。。

人間が人間でいられなってしまう状況での人間の残忍な行為を責め
られない。人間は、人間を人間でなくす「死の恐怖・自己の消滅」
をもたらす戦争を、だからこそ、避けなければならない。。

【戦争と人間の責任】

一度戦争になったら、その戦争状態で為した人の行為を、責めるこ
となどできないと私は思う。原爆を落とす。ミサイルを、魚雷を発
射する、民間人を殺す、婦女子を殺す、兵士は逃げる。なんでも起
きてしまうのが戦争であるのだから。。
だから戦争を私たちは避けなければならないのであって、戦争で犯
した人間の行為を見て嘆いている人間がいるならば、その人間は、
戦争が人間を変えてしまうという怖さを知らないということになる。

人にとって、その脳を狂わす「死(消滅)」は「人を人でなくす」。
特に、劣勢であったりしたとき、また、敵地にいるときには、「死
の恐怖・自己の消滅」が増大しているのだから、残忍な殺戮は起こ
るべくして起きてしまう。
どこの国の人間でも、自己存在を知った人間なら、いや、人間だか
らこそ、死から逃れようとして死をもたらす相手に残忍な行為を与
えてしまうと考えなければならないのではないだろうか。。
(他国に囲まれている国では、殺戮が起こりやすいのかもしれない)

【自己消滅から逃れる行為】

「戦争は人を人でなくすので、虐殺は必ず起きる」と、人間は知る
べきであり、そのような状況で残忍な行為をした人間を責めてはな
らず、それが「人間という自己消滅からは何が何でも逃れようとす
る生き物」だと、知るべきではないだろうか。。

【戦争が起きる原因】

人間は、己が、あるいは愛する者が「消滅」する時、あるいは、し
ようとしているとき、さらには、するかもしれないと予測したとき
にも、「死をかけたゲーム」をはじめてしまう。
これは、人類が過ちを犯すのではなく、「死を知った」動物である
人間の、極めて人間的な行為ではないだろうか。
(死を予測しない動物は戦わない。。)

【人間の危険予測応力】

しかも人間には、人間を、長い生物としての歴史の中で生き延びさ
せてきた「危険予測能力」という、最大の能力があり、この「危険
予測能力」が、安全な状況より危険な状況を探すセンサーを脳の中
にもって作動しているので、「自己消滅の状況を嗅ぎだし」、自ら
を、すぐに「死をかけたゲーム」に進ませてしまう。

戦争を避けるためには、この様な逆らえない宿命を人間が持ってい
ると考え、その様な人間を臆病だとか無能と軽蔑することなく、勇
気をもって認識し、人間の脳に「消滅の恐怖」を浮かび上がらせな
いようにしなければならない。。

【意識存在の心的な死】

そして、人間には、「心的な死」も存在する。人間は心的な環境、
すなわち、「民族の海」である精神世界を犯されると、生きていけ
ない動物でもある。その「精神的な海」も犯したり、あるいは、相
手に「心的な世界を犯されるという予測」も与えてはならない。

【予測と思惑】

人間は、「人間が予測と思惑と憶測をもって生き延びようと行動す
る」ことを忘れてはならない。そして、多くの人間は、死の方向と
逆方向の道を進むために、死の方向の標識を、この「予測と思惑と
憶測の能力」で、常に探しており、その「死の方向の標識」が増す
と暴徒と化し、殺戮を起こし始めることを忘れてはならない。と、
私は思う。

【人類の戦い】

そして、戦場での「死の恐怖」は敵からだけでなく味方からも与え
られる。
人類の戦いの相手は、人間ではなく「自己存在」から生まれている
「死の恐怖」かもしれない。


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ゲンゴロウ。。。。


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  ■ 本の紹介 →【人間物語】−存在・時間・意識− ■
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