[BlueSky: 3589] Re:3587,3588 ミジンコと金魚


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Wed, 15 Aug 2001 11:05:55 +0900

こんにちは、葛貫です。

大塚さん:
>  この問題は、生態学の「環境に不均質性があると、均質な環境では共
> 存できない種が共存できることがある」の応用として解決できるかもし
> れません。
>  つまり、「金魚が入れない空間」を作ってはいかがでしょう?
>
>  水槽の一部を金魚が通れない程度の穴が空いたしきりで区切ってミジ
> ンコの安全地帯を作れば、ミジンコが食われる確率が減ってうまく共存
> できるかもしれません。穴の数とか、水槽のどれぐらいを安全地帯にす
> るかで正否が分かれると思われるので、簡単ではないかもしれませんが。

スケールが違い、大塚さんのお話から外れてしまうのですが、
↑を読んで、閉鎖性の強い水域で行われている生簀養殖を
思い出しました。

海面に設置した網生簀の中で魚類を養殖するのですが、過剰に
与えた餌は網目を通って海域の富栄養化を引き起こし、赤潮
(藻類の大繁殖)や苦潮(貧酸素化)の原因になったり、沈殿
して表層水温が上昇し水温成層ができる夏季に腐敗し底層の
貧酸素化を引き起こし、底生生物の大量斃死の原因なってしまう。
#凄い大雑把な説明(^^;)、間違っていたらご指摘を m(_ _)m 。

佐川さんのサイトにあった実験の写真を拝見すると、藻類の
大繁殖のあと、それを食べる動物プランクトン(ミジンコ)が、
盛んに繁殖し、あらかた藻類を食い尽くしたあと自らも死に沈殿
している様子がよくわかりました。
通気していなかったり、水槽の水が撹拌されなかったら、沈殿
したミジンコが始めは好気的に、次いで嫌気的に分解されること
になるのかな。

水質を良好な状態に保ちたいなら、何らかの方法で金魚を隔離して、
更に与える餌の量を適切に管理する必要があるのかもしれません。
水域を汚染せず、適度な成長が得られる餌の量を割り出すため、
各地の水産試験場は苦労しているようです。

佐川さんの実験は、水中の汚濁物質の除去が目的だったわけで、
沈殿したミジンコを除去すれば、目的は達成されたことになる
のかな。インとアウトのバランスを上手にとり、連続培養が
できれば面白いですね。

水産養殖では、ナンノクロロプシスという藻類を培養して、
シオミズツボワムシの餌とし、ワムシを孵化仔魚の初期餌料に
しているようです。
以前、クロレラの培養の話がでたことがありますが、排水が有害
物質を含まず、質的に安定していたら、有効利用できるかもしれ
ないと思いました。

「環境に不均質性があると、均質な環境では共存できない種が共存
できることがある」と【3584】でご紹介した「多様性とは何か 
土壌微生物からの視座」に書かれていたことを関連させると、いろ
いろなことが思い浮かんでくるのですが、話が際限なく拡散して
行ってしまうので、このへんで m(_ _)m 。



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