[BlueSky: 3586] FOE セミナーレポート


[From] YOSHINORI ENDO [Date] Sat, 11 Aug 2001 17:49:25 +0900

 こんにちは。遠藤@ピースボート・ボランティアスタッフです。
 今日は、地球の友ジャパンの開催したセミナーに参加しましたので、その模様
を報告いたします。

 地球の友ジャパン(FOE)環境セミナー
 第一回 〜地球温暖化とマーシャル諸島〜
 日時 2001年8月10日(金) 19:00〜20:15
 場所 ピースボート東京事務局
 講師 中島 正明(なかじま まさあき)

 今晩のセミナーは、地球温暖化がテーマでした。
 地球温暖化は確実に進んでいて、このペースで行くと、100年後には平均気温が5.8
度上がり、海面も88センチ上昇するというシミュレーションがでているとか。10,000
年前から今までは、気温は4度上がったそうですから、今の状態がいかに異常で
あるかがよくわかりました。 
 地球温暖化は、様々なところで悪影響を及ぼします。
 具体的には、マラリアやテング熱などの熱帯性疫病の流行、食糧生産高の低下、
森林の植物の多様性の低下などです。また、海水の温度が上がると、サンゴ礁の
絶滅につながるとか。また、ヒマラヤ、グリーンランド、南極大陸の氷が全部溶け
ると、海面が70センチ以上上がるそうですね。
 当然の事ながら、昨今の異常気象も温暖化の影響では?
 世界中の保険会社によれば、'60年代までは支払う保険金は疫病が多かったのだ
が、'70年代以降は異常気象が目立ってきたとか。異常気象の影響は大きく、洪水
やら水不足を引き起こす。さらには、海水が一般河川にまで逆流したりして、こ
のままでいけば2025年には、全世界で50億人以上が水不足に苦しむとか。温暖化
の被害は3,000億ドルと推定されているらしいです。 

 次に、マーシャル諸島の模様を映したビデオをみんなで見ました。
 マーシャル諸島とは、昔日本の統治領だったことがある国で、'91年に独立しま
した。国土の大部分がサンゴ礁で、温暖化の影響で海面が1m上昇したら、国土の80
パーセントが消えてしまうのだそうです。人口はわずか6万人、食糧や必要な物
資は輸入に頼っていています。自給自足の文化がなくなっているからだそうで
す。
 地元の人が温暖化についてしゃべっていました。国民は、地球温暖化が与える影
響について、誰も知らないらしい。日々の生活に精一杯だからです。政府関係者
も、地球温暖化で国土が消えるおそれがあるということを、どうやって説明した
らいいのか頭が痛い、国民に動揺を与えることなく説明するにはどうしたらい
いのか、といってぼやいていました。
 「サンゴ礁国家に住む我々にとって、地球温暖化は死活問題です。我々には家族
がある。家族のいいところは、家族、帰ってくるべき家、そして土地があることで
す。地球温暖化は、これらを全部奪うのです」
 我々は、彼らの悲痛な叫びをどう受け取ったらいいのでしょうか?
 マーシャル諸島全体で出る二酸化炭素は、全世界中のたった0.004パーセントに
すぎません。ところが、アメリカ一国で前世界中の二酸化炭素の23パーセントを
出している(日本は5パーセント)。温暖化の影響に責任のない国が真っ先に被害
を受けるわけで、これまさしく「構造的暴力」そのものだと思います。

 最後に、国際環境会議の歴史について触れられていました。
 '85年に、フィラハ(オーストリア)で開かれたのがきっかけです。
 '88年、トロントでの会議では「2005年までに、二酸化炭素の発生レベルを'88
年の数値からから20パーセント削減する」目標が立てられました。
 '92年、気候変動に関する条約が結ばれ(すいません、名前を聞きそびれました)、
同年には「地球サミット」が開かれました。この条約は'94年に発効し、翌年
から毎年、環境に関する国際会議(Cop)が開かれています。
 '95年、Cop 1がベルリンで開かれました。
 '97年、Cop 3が京都で開かれます。ぞくにいう「京都議定書」が決まったのは
この会議です。
 '98年、ブエノスアイレスでの会議では、どうやって二酸化炭素ガスを削減す
るのかを討議しました。
 去年のCop 6では、Cop 3の決議を巡って対立し、いったん決裂しましたが、
先月開かれたCop 6の続きの会議でやっと合意いたしました。
 主な合意内容は、全世界で二酸化炭素ガスを5.2パーセント削減すること、二酸
化炭素ガスとフロンガスの排出量を'90年(フロンガスは'95年)の水準に削減す
ることが目標だそうです。
 今、京都議定書が発行するかどうかスッタモンダしているのは、議定書に調印し
た国の二酸化炭素ガス発生量が55パーセント以上でないと、この議定書が発効
できないことになっているから。だから、世界各国はかたずをのんで、日本の動
向を見守っているのだそうです。
 日本の動向がフラフラしているのは、アメリカの動向もそうなのでしょうが、経
団連が議定書調印に反対しているかららしい。しかし、そんな自分の儲けが大事
なのだろうか>アメリカと経団連。
 温暖化の数字は根拠がないそうですが、IPCCのお墨付きを得ているそうです。
 先日の東京新聞夕刊が、のニュースウィークで京都議定書に関する記事を取り
上げています。マサチューセッツ工科大のリンゼン教授に関する記事で、彼は'80
年代後半から地球温暖化の危機を否定し、「コンピューターによるシミュレー
ションを信じるのが間違い。今後100年の気温上昇は1℃未満、これくらいなら
大騒ぎするな」と主張する。当然の事ながら、ブッシュ大統領の京都議定書離
脱表明にも関わっているらしいです。  
どこの世界にも、時の政権のお先棒を担ぐ輩っているもんだな。

 長々としたメールになってしまいましたが、報告は以上です。
 どうもありがとうございました。
  
United People Alliance
  ピースボート
ボランティアスタッフ
遠藤 嘉則
mataro@ss.iij4u.or.jp
We Are Aid Team!!


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