尼崎市の一ノ瀬です。
犯罪者の犯歴を公開するべきか否かで議論が盛り上がっていますが、私は、そ
の効果に疑問を抱いています。
マークされていると分かっている前科者が、わざわざ地元で同種の犯罪を犯す
でしょうか？特に悪質な犯罪者ほど、他の町に移動して悪事に及ぶと考えるべき
です。
すると、私達が自衛するためには、殆ど全国の犯罪者の顔を覚えなければなり
ません。しかも、地元の人間ではない場合、顔が似ていると言うだけでは、本人
かどうか分からないことが多いわけですから、より一層自衛は困難になります。
一方で、前科を背負う者やその家族にとって、その犯歴を公開されることが如
何に過酷であるかは、指摘するまでもありません。
更生する気の無い者は何れにせよ論外ですから考慮の外としても、更生の可能
性のある人達までも社会から疎外することなります。つまり、再犯せずに済んだ
可能性のある人達までも犯罪に追い込み、結果として、犯罪被害者を増やしてし
まうことになります。
例えば性犯罪者の再犯による被害を防ぐ必要があるのならば、収監期間を伸ば
して社会から隔離する期間を伸ばすこと、出所後も適当な専門家による一定の監
視下に置く、等の手法を考えていった方が、遥かに実効が上がると思われます。
”犯歴の公開”が、これだけ話題になる背景に、私は、犯罪者に対する、報復
＝リンチ、を求める意識が働いているように感じられます。
しかし、そういう目先の憎悪に支配されて、結果として犯罪被害者を増やして
しまうとしたら、大変に愚かなことです。
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