[BlueSky: 332] 子育て自由大学? Re:325


[From] Ken Goto [Date] Sat, 07 Aug 1999 03:43:02 +0900

中澤さん、長峰さん、葛貫さん、細谷さん、駒林さん、青空MLの皆さん

                         後藤@帯畜大です。

何か、子育て自由大学 みたいな様相を呈してきましたが・・・       

中澤さん【325】
> 葛貫さん:
> > 1人の女性が生む子供の平均数が2人を切っていますが、
> > 自分の周囲を見渡すと、一人っ子の家庭が増えているので
> > はなく、1人も産まない人と、複数産む人に別れているよう
> > に感じられます。
> 日本のデータからみても,その通りです。
>
> [321]で紹介した「出生動向基本調査」の夫婦調査の結果p.11
> によれば,出生子ども数0人の夫婦の割合は,
>
> 結婚期間 1982年 1987年 1992年 1999年
> 5年未満 38.9% 32.5% 38.9% 42.6%
> 5〜9年 4.3% 4.8% 8.6% 10.3%
> 10〜14年 2.5% 3.3% 4.8% 5.5%
> 15〜19年 3.2% 2.8% 3.1% 3.7%
> 20〜24年 2.2% 2.1% 2.8% 2.3%
> 25年以上 3.8% 2.2% 1.9% 1.3%
>
> となっていて,とくに結婚期間が短いカップルで,子どもの
> いない割合があがっていることがあきらかです。

5年未満は顕著ではないようですが?
5〜14年では顕著ですね。
逆に、25年以上で顕著に減少しているのは、人工受精のせいですか?
それとも、高齢初産の「安全性」(?)が増加した、という意味なのでしょうか?

それにしても、中澤さん、いろいろ興味あるデータ、楽しいです。

> > 物質的な豊かさもそうですが、社会的に認められること、遺伝子を
> > 残すことより名を残すことの方が、心地好いのかもしれません。
> 独身者調査の結果からすると,独身生活の利点として挙げられた
> 項目は,
>
> 男性では,
> 1)行動や生き方が自由(66%)
> 2)金銭的に裕福(26%)
> 3)家族扶養の責任がなく気楽(24%)
> 4)広い友人関係を保ちやすい(19%)
> 5)異性との交際が自由(12%)
> 6)住環境の選択幅が広い(4%)
> 7)現在の家族との関係が保てる(2%)
> 8)職業をもち社会との関係を保てる(2%)
>
> 女性では,
> 1)行動や生き方が自由(70%)
> 2)広い友人関係を保ちやすい(32%)
> 3)金銭的に裕福(19%)
> 4)家族扶養の責任がなく気楽(18%)
> 5)職業をもち社会との関係を保てる(9%)
> 6)現在の家族との関係が保てる(8%)
> 7)異性との交際が自由(7%)
> 8)住環境の選択幅が広い(4%)
>
> となっていて,男女でだいぶ理由が違いますが,「自由」というのが
> 第一のようです。とすれば,調査結果にはでてきませんでしたが,
> 夫婦でも,子ども=自由への制約,という気持ちがあるのかも
> しれません。
>
> とすれば,ぼくが[162]で書いて,後藤さんが[186]でまとめて
> くださった,(もしかしたら錯覚かもしれない)「自由」欲が,
> ここでも問題の核心にあるのかもしれないなあ,と思いました。

大分前から、子ども=自由への制約という捉え方には根強いものがあると思いま
す。確かに、一面では、その通りですし。

葛貫さん【324】:
> 動物園等で群れから隔離されて育てられた子猿は、子育てができないという
> 話を聞いたことがありますが、人にも同じようなことが言えるのでしょうか。

霊長類学が御専門の陸さんの御意見を伺いたいところですね。

僕としては、ただ、生物学的類推としてはまさにその通りだろう、と言えるだけ
ですが。

また、一般論として、こどもはいろいろな人に愛されないと、いろいろなひとを
愛せない、と思います。子守りをされて、子守りすることを知る、というか。で、
その、子守りシステムが核家族(+保育所)に閉じ込められるようになってきた
昨今ですが、僕自身の時代は、地域がその代わりを務めていたから、親の負担は
軽かった、と申し上げたわけです。

・・・この「地域性」は同じ時代でも、地域によって大分違うでしょうが、、、
僕が話してるのは全般的傾向の問題です。また、同じ地域に育ったって、
個人差は絶対的にあります。あくまでも、平均値を問題にしています。

長峰さん【317】:
> > 僕自身が育った頃の親の負担は、遥かに小さいものでよかった、というの
> > が僕の実感なのです。
>
> 私の親は床屋さんですが、私ら兄弟3人を背中にしょいながら朝から晩まで
>(一時期は夜中までやっていたそうな)働いていたそうです。今の方が、車、自
> 動洗濯機、スーパーの普及など、負担は少なくなったように思います。これは、
> 私も私の親も核家族だったからかもしれません。負担が増えたのは、1人子が多
> くなったので、死んでもらっては困るという気苦労が大きいのではないでしょうか。

まず、僕の気苦労(親として)の第一は、車に轢かれないだろうか?ということ
です。とにかく、安全歩行とされる歩き方をしていても(信号を守っても)、暴
走してくる車は必ずある。

・・・しかし、3,40年前は、その心配は遥かに小さかった筈です。

気苦労ではないですが、大変だったことは、遊び場です。保育所にお世話になり
ましたが、これは、3,40年前は、地域の役割です。隣同士、預けあう。ひと
りで留守番させても、近所には(年長を含め)たくさん遊び相手がいるし、危険
でない遊び場(山や野原、畑や田圃)も近所にある。

確かに、死んで欲しくないという気持ちが、こども数が少ないほど強まるような
気もします。気持ちが、大人数のこどもに分散しない、という感じでしょうか。

おっと、もう一つの気苦労は、学校社会への対応でした。第一子が誕生した頃、
「管理教育」が普及し始めたこと、「非行」が貧困家庭のこどもから「何でもな
い」(「中流」)家庭のこどもが中心になってきた時代でもあります。ほどなく、
「いじめ」が問題になってきました。親が教師を家庭内で非難する時代でもあり
ますね。この学校社会を上手く乗りきれるか、とても不安でした。

・・・幸いいい小学校、中学校に恵まれ、一応、無事に終了しましたが。でも、
下の子は中学の時い。じめられました(知ったのは、いじめに遭った3,
4年後です:まぁ、パパっ娘、なんですが、いじめは、僕にも言いづらい
ほどの「屈辱」だったようです:まぁ、今振り替えると、その兆候がなく
はなかったのですが、それが「いじめ」によるものであるという判断には
到達できませんでした:それほどに、いじめられる子は巧妙に隠すもので
ある、ということは、小・中学生をもつ親御さんには謹んでご忠告申し上
げたい、と思います)。

あと、教育費はべらぼうに上がっています。塾その他の習い事ならいざ知らず、
公教育にかかる費用は、比較になりません。例えば国立大学の授業料、、、これ
は、1972年頃から受益者負担の原則が敷かれて、どんどん上昇するばかりで
す。公立高校は月2,3万だったかな。

70年代初期、生活費(下宿生活で)が月3万円。国立大学の授業料は僅か10
00円です(細かい値は記憶違いがあるかもしれませんが、生活費に占める割合
は無視できるほどの学であることは間違いありません)。育英会の奨学金が1万
程度だったかな。今、国立大学の授業料は月4万〜5万。生活費の3分の1も占
めています。

・・・アルバイト(特に、家庭教師)の単価も高かったですよ!週2回、各2時
間で、月1万〜2万になった。つまり、完全に親の仕送りが要らない生活
が、少なくとも国公立大学の学生には簡単に可能だった。今、塾産業の隆
盛で、家庭教師のアルバイトは、なかなかないようですね。

・・・序でに言えば、おおらかな時代ですから、家庭教師先で昼寝してて
もちゃんと給料くれました(首にもならず)。先生、寝ててくださ
い。ぼく、勝手にやってますから、、、とまぁ、こんな具合。

細谷さん【323】:
> えるとためらっている人は多いです。でもそれ以前に同級生(20代後半)で
> 結婚している人が殆どおらず,交際している異性もいないという現状は,少
> 子化を進めている重要な点だと思います。増える独身族。結婚を焦っている
> 人もいませんし。そういや昔はどうやって相手を見つけていたんですか?
> やっぱりお見合いが多かったのですか?

ここの前半部は、多分に母集団(細谷さんの同級生グループ)の特性かもしれま
せん。僕の親の世代まで(70歳以上)は、お見合いが主流だったような気がし
ますね。でも、今でも、結婚斡旋業が繁盛してるようですから、完全なる第三者
(斡旋会社)を仲介としたお見合い「も」結構あるんではないでしょうか。

でも、ここは、中澤さんが、またまた面白いデータをご存知かもしれませんね。

駒林さん【331】:
> 「なんでコドモほしいんだぁ????」とさえ思います。
まぁ、僕も別に欲しかったわけじゃないですけど・・・
・・・僕の子供が読んだら叱られちゃうかな

いずれにしても、世継ぎをつくることが「嫁の務め」であった時代に比べ、「子
供を生む生まない」ということが自由な選択肢として加えられた、という点では
「豊か」になっているかもしれません。

・・・ただ、生みたいカップルが、生んで育てるにあたって、さまざまな苦労を
カップル一身で背負うようになっているし、子育て環境が劣化していると
いう点では「貧しく」なっているのだと思います。

駒林さん【331】:
> 子娘の寝言だと思って、読み流してくださいませ。
> #とかいいつつ、妊婦はやってみたい。
はい、読み流しましたが、、、この最後の一節にとても興味を抱きました。
妊婦って、見るからに辛そうです(ま、実際に辛い;もちろん男には実感できま
せんが)。唯一のメリットは、赤ん坊の胎動に喜びを感じる、という点だけのよ
うに思います。それなのに、どうして小娘が妊婦になりたいのか、芸術的な関心
なのでしょうか?全く想像が及びませんでした。


後藤 健
=========================
帯畜大 生物リズム学 Phone (& Fax): 0155-49-5612

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