[BlueSky: 329] Re:318 RE:238 小学生に環境問題をどう教えるか?


[From] Ken Goto [Date] Fri, 06 Aug 1999 23:41:38 +0900

水野さん、青空MLの皆さん、
               後藤@帯畜大です。

水野さん【318】:
> いずれにしても子供の発達段階をふまえて、教育を考えなければ、という点
> では、一致していますね。^^;;

そうですね。ですから、恐らく、意見の違いは、小学校5,6年次におけるこど
も、ってどういう状態にあるのか、という点の考えにあると思います。

僕は、おぼこい子を代表したつもりになって話しを進めてきましたが、水野さん
は「成熟の進んだ子」を代表して発言しているようにも思います。【312】で
も述べましたが、「成熟度」の個人差の大きい時期です。

僕自身がおぼこかったので、この時期に「成熟している子」の考え方は想像が及
びませんが、おぼこい子の方の気持ちは、昔の自分を振り返るだけでよいわけで
す。

で、僕の設定した問題は水野さんの下記の発言にとても深く関係しています。

水野さん【318】:
> >水野さん【299】:
> >> だから学校でやってほしいことは、ご指摘のように、みかけ上の「いい子」
> >> を増やすのではなく、そういう「背伸び」「頭でっかち」的知識や実践の
> >> 内容のなさ、根拠のなさ(不安材料の蓄積をしても、仕方がないということ)
> >> に早く、気が付いてほしい、というようなことです。
> >
> >そのためにはどのような方法論が有効か、ということが最も重要な問題となりま
> >すね。
>
> 環境問題というのを本当に理解するにはかなり高度の知性を必要とする、という
> ことを、米本さんだったかが、言っていたと思いますが、そういう高度の
> 社会認識であるところの環境問題を、子供の発達段階を見ながら、どうやって、
> 教育課程として、問題をブレイクダウンして組み替えていくといいのか、という、
> さらに高度な(と私には思われます)問題である、というご指摘であるように
> 思います。

そう、とくに、個人差のとくに大きな時期ですし、初等・中等教育の基本は「底
辺にあわせる」ことだとも思いますから。問題が複雑なだけに「頭でっかち」に
なる「潜在的」危険性は特に高い、と思うのです。

・・・後者の点(底辺にあわせる)は議論のあるところでしょうが・・・こと、
環境教育のように「生き方」に直接関わってくるような問題では、「頭で
っかち」的教育は危険極まりない、と思うのです。

・・・算数落ち零れが算数嫌いになってしまうように、「環境問題」落ち零れが
「環境問題」嫌いにならないか?頭でっかちとはまた別の問題でもありま
すね。

> 問題の解決には、まず問題をよく理解すること、そのためには、まず問題を
> 知ること、というわけですが、何が難しいのか、ということを、大人は
> はっきりと言葉にして、子供たちに、語るべきだと思うのです。不安を、では
> なく、論理を、です。彼らは、何を言われているのか、必ず理解出来る、
> のではないか、と感じるのですが。
こういう形での問題提起(論理)は、いずれ、こどもは理解します。それが、小
学5,6年生が妥当な時期なのかどうか、という一点に僕は素朴な疑問をおぼえ
ているわけです。大半の子が思春期を終わりかけている中学3年生時でも遅くは
ない、ということです。

> >算数そのもののオチコボレが2,3年生のうちに続出するでしょう?
> >算数の問題を解くのに、世間のことは一つも知らなくてよいから、実は、腕白小
> >僧にとっての「勉強」としては、一番とっつきやすい筈のものだ、と思うのです。
> >論理的な思考訓練にもなるし。
> >
> >でも、大半の子が、ついていけなくなってしまうのです。
>
> 勉強すれば出来るようになる、という意味では、そうだと思います。
>
> でも社会にはこういう(定量的に考えなければならない)問題がある、
> ということを、環境問題に関係する教育課程にも含めることは出来るのでは
> ないでしょうか?
もちろん、これには全く同感です。

> > ・・・社会正義に対する目覚めがなければ、思春期における「反抗期」と
> > は何なのでしょうか?
>
> 自分、というものを、きちんと認めて欲しい、という欲求ではないでしょうか?
> 社会性があってもなくても、それは起こる現象であるように思いますが、
> どうなのでしょうか? あるいは、社会批判、大人社会の批判を始めたり
> しますから、後藤さんのご指摘のような現象かもしれません。

自尊心だけなら、小さい頃からあります。
でも、「自分、というものを、きちんと認めて欲しい」という気持ちは、自尊心
を基盤にしながらも、「大人としての自覚(への目覚め)」を含んでいると思う
のです。

「あんたにとやかく言われる筋合いはないんだよ」って、僕は言いませんでした
が、、、とにかく、そのこころは完全庇護から独立(自立)への努力でしょう。

・・・原始社会であれば、経済は単純ですから(また、労働への寄与も若年から
始っているでしょうから)、「不順異性交遊」なんて言葉も生まれようが
ありませんね。おっと、日本でも、30年前には、中卒で「金の卵」でし
たね。

そして、この独立(自立)をまじめに考えれば、広い社会は当然視野に入り「う
る」状態になっています。でも、親に甘えっぱなしの思春期以前は、真面目には
入ってこないんじゃないかなぁ、、、というのが僕の考えであるわけです。親に
甘えているわけですから。

> >ちいさな集団ではあっても、こどもはそこで、友達どうしをお互いに認め合う訓
> >練を行います。つまり、人間に対する愛情をそこで培うわけです。これが、「十
> >分な準備」の不可欠の一要素です。
>
> そうだと思いますね。だから、兄弟姉妹の数がすくないなんて、反社会的行為
> であるとさえ思っているのです(冗談です)。ちなみに、私は、夫婦の場合、
> 子供一人では学ぶ場所が少なくなる、2人なら「関係」を学ぶ、3人なら
> 「社会」を学ぶ、というふうに思っていて、...別に押し付ける積もりは
> ありませんが。

これは、別の「子育て」スレッドにも関係しますが、家庭をとりまく地域環境も
とりわけて重要だ、と思います。一人っ子でも、家の中では寂しいけれど(うん、
昔は、一人っ子の子はみんな寂しいといっていた)、外にいけば、年長、同年、
年少、さまざまな友達がいれば、楽しく遊べる。そういう地域環境がなかなか得
難い(不可能な?)世の中になっている。

> >あとは、好きこそ物の上手なれ、でこどもの学習意欲の赴くまま。
>
> この学習観、基本的に、賛成です。でも主張を持った教師であってほしい、
> ということも、同時に、思う分けです。それが子供たちに、生きる勇気を
> 与える(その一つとして極めて重要)と思います。ロールモデル論ですね。

確かに主張を持たない教師は、こどもも魅力を感じませんね。でも、僕がそれを
感じたのは、やはり、中学生になってからで、、、小学生のときは、主張も何も
なかったというか、、、性格的な相性が大切というか。

・・・いずれにしても、小学生時に、深刻な社会問題が教材にあがった試しはな
いです。

> 上から、というのではなく、上から見る視点を学ぶことができる、横の人、
> それが、先生(そうあって欲しい)、という感じがします。子供の好奇心
> (これは誰でも持っていますよね)を、伸ばせるような、なにか、本物で
> 感動させてくれるような、そういう先生ですね。
>
> インドの詩人のタゴールが、「自分で(いつも)学んでいない人は、人に
> 教えることは出来ない」、というようなことを言っていましたね。
はい。けだし名言です。

・・・中学生時代、安保反対に熱心で、教材研究が不十分な先生のことを思い出
しました。

でも、座右の銘にしなければ(脂汗)。

> 自由、といっても、ほっておくと、だらけるのも、また人間(子供)
> という面も、認める必要があると思います。

はい、僕もだらけてますから、よく分かります。
ただ、人間には目的もまたあるわけです。少年よ大志を抱け、じゃないですが、、、
目的がある限り、放っておいてもだらけません。

・・・つまり、管理するのではなく(昔はこんなことしなかった)、それぞれの
こどもがそれぞれのこどもなりの「大志」をもてるような形での学校教育
になっていれば、自由でありうるわけです。もちろん、この形は、最も難
しい方法で、理想論に過ぎない、といわれるのは目に見えているのですが、、、
こどもの側から見れば、正論以外の何物でもない筈です。

国家なり、教師なり、親なりは、教育に「目に見える」成果を求めすぎて
いるわけです。その基準からすると、「自由」ほど成果のないものもない
し、「危険」でもあるし、、、教える側の「力量」が強く求められざるを
得ない。そこに、「理想論」といわせてしまう一つの要因があるかな、と
思います。

環境教育というテーマから「教育原理」(って勉強したことないですが)的な話
になってしまいましたが、「環境問題」はそれ程に複雑だ、ということなのでしょ
う。

念の為に。環境教育をするな、とは言っておりませんのでご注意ください。
理科や、普通の社会科を教えるのとは、わけが(重みが)違うだろう、というこ
とを言いたいのです。

・・・で、農業実践を通じて、ある子はせっせと栽培し、ある子はせっせとそれ
を荒らし、、、で、何か学べれば、楽しいかな、と。もちろん、そこでは、
陸さんをはじめ何人かの方々が御提案された「展開」もあって面白いだろ
う、と思います。

後藤 健
=========================
帯畜大 生物リズム学 Phone (& Fax): 0155-49-5612

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