[BlueSky: 3172] Re:3171 ミーム


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Thu, 22 Mar 2001 10:23:43 +0900

葛貫です。

須賀さん:
> どのようにお答えすれば後藤さんを満足させることが
> できたのでしょうか? 

後藤さんと須賀さんのやりとりを拝読しながら、私も、これを
ずっと感じていました。

私個人の感想を言わせて戴くと、【2972】から拝察しますところ、
【2947】で須賀さんが書いていらした、“「血縁淘汰」とか「互恵
的利他性」なんて説明ぬきでいわれても意味がわからない方もいらっ
しゃるんじゃないかな、という親身なご指摘”をなさった方は後藤
さんであるように思われました。(間違っていたらお赦しを。)

何故、御自身で直接、説明して下さらないで、須賀さんに説明させ
たのか、このスレッドの間、ずーーっと、後藤さんに対する不信感
が残ってきました。
#【3148】に、女は、(一般的に)、男への愛のシグナルを無意識的
#に送っているそうですね。と書いていらっしゃいましたが、無意識
#に送っているのが不信のシグナルと書いてあったら、笑っちゃうの
#にな、と思いました。

【2947】:
「遺伝子の観点からみれば利己的な行動」といった表現が
あくまで比喩としてつかわれているということ、そして
動物の行動や進化の研究者はそのことをきちんとわきまえて
つかっているということです。遺伝子には「意識」はあり
ません。だから何かはっきりした悪意をもって人間の脳を
あやつっているというわけではありません。あくまでも
進化の結果をあとからみたときに、なぜ「利他的」な行動
進化しえたのかを説明しうるモデルとしてだされている
アイデアの説明です。

【2974】:
単に論理的に考えても、血縁淘汰や互恵的利他性の進化といった
社会生物学(行動生態学ともいう)の理論は、こういう考え方と相性
は別によくありません。

これらの理論は、自分で直接こどもを産まない生物個体でも「利他
行動」によって自分の遺伝子を結果的にのこすことがありうる、と
いうようなことをいっているのですから。「遺伝子の意志」が仮にある
と比喩的に考えても、その意志は「自分で子どもを産みなさい」と
いつもいっているわけではない。むしろ「血縁者を助けなさい」とか
「自分に親切にしてくれる相手があれば他人であっても親切にしな
さい」という場合もある

【3141】:
あの本で「利己的」ということばが意味をもつのは、
次の2点においてではないでしょうか。

1.遺伝子のことなんか考えもしなかった昔の
「種のための自己犠牲」という考え方を批判し、
適応進化を考えるには遺伝子レベルの淘汰を
考えなくてはいけないことを強調すること。

2.個体の適応度と包括適応度を対比し、
前者では子孫の数が減るという意味で「利他的」
な行動が、後者では遺伝子のコピーがふえると
いう意味で比喩的に「利己的」といえるようなかたち
で両立する場合があることを示すこと。

という説明を読んで、私の頭の中で混乱していた、また、
一番知りたかった物の流れについて整理できたこと、
須賀さんに、感謝しています。ありがとうございました。





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