[BlueSky: 3152] Re:3151- ミーム


[From] "suka" [Date] Sun, 18 Mar 2001 22:23:17 +0900

後藤@帯畜大さん みなさん

   須賀です。

後藤さん:
> でもね、著作の意図がどうあれ、あの本の社会的受容過程に伴う混乱を、
> 須賀さんも十分にご存知のはずでしょう?少なくも、SFとしては読ま
> れなかったのですよ。

そうですね。で、過去はどうあれ、今できることとして
僕はあの本のひとつのよみかたを示唆したつもり
なのです。過去にどうよまれたかについては著者でない
僕には責任をとりようがありませんからね。

もう一点、ドーキンスの本への批判が、まじめな行動
生態学者(そのなかには立場のよわい大学院生など
もふくまれる)への政治的なハラスメントへとひろがる
ことを僕は懸念しています。

> おっと、SFが常識的な意見だったら、SFとしては通用しませんよ。

後藤さんの意図がわかりませんが、ミームの
しめくくりの部分で言っていることは常識的な
考え方だと僕は思います。

> 種のための自己犠牲という考え方を批判したのは、1950年代後半の
> G.C.ウィリアムズの著作でしたね?
> で、個体レベルの淘汰という考え方が当時は主流だったわけですね。個
> 体レベルの淘汰を否定し、遺伝子レベルの淘汰を主張した、と見るべき
> ではありませんか?

『利己的な遺伝子』は一般向けの本ですよね。ウィリアムズの
批判やハミルトンの理論をわかりやすく面白いたとえをつかって
説明するというのがドーキンスの意図だったのではないでしょうか。
僕は大学生のときそのようにしてこの本を紹介されました
>
> でも、僕が問題にしているのは、社会生物学の学界レベルでの共通見解
> じゃないんですよ。この理論の社会的受容過程において、「異次元のこ
> とがらの同格化」が行われてきた、という点なのです。【3095】で
> 指摘したとおりです。そして、この同格化が、ドーキンス自身の文章に
> も見出される、としたのです。

なるほど。じゃあそれを説明すればことは足りるわけですね?

> えっと、創造者に対する反逆に関する一節ですよね?
> 学習が反逆ですと?そしたらなぜ、「唯一われわれだけが」なんでしょ
> う?えっ?ここは文学的レトリックですって?

「学習」でなくて「知能」にもとづく行動です。
単にひとまねや過去の経験にたよるのではなく、
新しい状況ですじみちをたてて問題の解決をおこなう
ということです。知的な「創造」もそのにはふくまれる
でしょう。


> いやぁ、僕は、反逆できるとは思っていませんよ!

後藤さんは「反逆」ということばがおきらいなんですね。
僕には過剰反応と思えますがこれをおしつけるつもりは
ありません。僕はこの「反逆」を「知能」や「創造」と読んだ
ということをおつたえしたかっただけです。

> また、ダーウィニズムの拒絶を人生規範にしているようですが、本当に、
> ダーウィニズムに拒絶できると思っているのでしょうか?自然法則には逆ら
> えないはずなのですが。「社会」ダーウィニズム(人間社会は弱肉強食
> を原理にすべきだという思想、でよいのかな?)の拒絶、というなら理
> 解できるんですが。

後者ではないでしょうか。


▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。