[BlueSky: 3115] Re:3110 財政赤字


[From] "yuichiro komiya" [Date] Fri, 16 Mar 2001 04:49:32 +0900

こんにちは、小宮です。

ゲンゴロウさん:
> で、ちょっと、赤字国債は、なんの為に出されているかという
> ことを考えてみました。結論は財政赤字とは名ばかりではない
> のか?です。
>
>  現在、私が知る所によると銀行、証券、郵貯には、現在、良好
> な利ザヤを稼ぐ資金運用先がない。。。株価もどんどんと下がり、
> 手が出せない。よって、国債だけが頼みの綱。。。
> ということから、赤字国債は「日本の財政が破綻」していると言
> うよりも、「金融(護送船団)の保護の為の政策」の一つなのか
> もしれません。つまり、税金を直接、金融関係の保護につかうと、
> 不良債権処理のように特別保護として非難されてしまうので、
> 赤字国債を引き受けさせて、政府が借入先になっているのではな
> いかと。現政府と金融の相互扶助。して、その実体は未来の人間
> の血税を先取りしている。
> 今、銀行、証券会社、郵貯の窓口で国債を売ってはいるが、ほん
> とうに市場に国債を放出しているのかどうか。。。疑問。

赤字国債がゲンゴロウさんのいわれているとうり、政府と銀行に
なんらかの癒着があるのかどうかは分かりませんが、僕が読んだ
本、サイトに書かれてあったことをまとめてみます。

○赤字国債は何のためにだされているか?

まず「赤字国債」という言葉の意味を調べました。

日経手帳「今日のことばー国債」
http://www.nikkei.co.jp/rcafe/today/0003/01.html
赤字国債…不況などの影響で税収が落ち込んだ場合に、歳入
不足を補うために発行される国債
建設国債…道路や住宅、湾などの公共事業の財源にあてるため
に発行される国債

上のように、赤字国債は、歳入(国の収入)不足を補うために
発行されるものなのですが、その赤字国債のがなんのために
出されているか(なんで国の支出が増えているか)といえば、
倒産した金融機関の保護や、景気対策のための公共事業費
がふくらんでいるからでしょう。
http://www.nikkei.co.jp/rcafe/today/9907/06.html


「財政赤字はうそ」というのがどういう意味かはわかりませんが、
数字の上からだけ見たら赤字なのは確かでしょう。日本の財政
赤字の累積は国・地方あわせると650兆円規模です。でも、
「これだけ巨額な赤字があって、全部返すことはできないから
もう破綻だ」ということではないそうです。いまでも多くの国が
財政赤字を抱えていますが、どこも全部返そうと思っているわけ
ではない。ようは、財政赤字を抱えていても、金融システムがうま
く働いていればそれでいいのです。

では、財政赤字のどこに問題があるのか?それなら650兆でも
1000兆でも借金をすればいいのではないのか、と思いますが、
そうではありません。借金が累積されていくと、借金を払うための
利子も大きくなっていきます。その利子を払えなくなるほど借金が
ふくらめば、財政破綻になってしまって大変なことになります。
ですから財政を正常化するためには、これ以上借金を増やさない、
前年の借金に今年新たな借金が加わらないようにすることが必要
なのです。

財政には借金の利息を払う前の収支、基礎収支というものがあり
ます。これが赤字になるようではどうしようもありません。とにかく
基礎収支のバランスさえとれば、借金の利息より経済成長率(GDP
の伸び)が大きければ財政破綻を防ぐことができます。ですから、
経済成長率を下げないようにしながら、国の収入(税収)をあげ、
支出を抑える必要があります。「みんなの経済学」では、法人税は
企業の国債競争力をうしなわせる(経済成長率をさげてしまう)ので
あげるわけにはいかない、所得税をひきあげるのも、ベンチャー
企業のやる気をそそいでしまうのでむり。そうすると消費税を引き上
げるしかなく、財政赤字がこれ以上増えないぎりぎりのラインとして、
消費税14%をあげています。これでもヨーロッパ諸国の消費税が
18〜25%を考えるとそれほど高い数字ではありません。

また、支出を減らすため、公共事業費のきりつめも行わなくては
行けないでしょう。自民党はこれまで公共事業を推進し、それに
よって選挙の票を稼いできました。
http://www.nikkei.co.jp/rcafe/today/0011/05.html
景気回復のために公共事業をやるというが、斜陽産業の建設業
に多くの公的資金をつぎこむのは、自民党と建設産業の癒着体制
にも問題があると思います。この癒着をたちきり、公共事業費をきり
つめ、景気対策のために有効な資金運用を考えなくては行けない
のだろうと思います。

参考:
2000年度の歳入、歳出の予算案
http://www.nikkei.co.jp/rcafe/today/0003/03.html
国債費22兆円、99年度費18%増。これが利子か?

国債の保有者別うちわけ
http://www.nikkei.co.jp/rcafe/today/0001/02.html
国債のほとんどは日本国民がもっているので、財政
破綻して国債費が払えなくなっても海外からのとりたて
はほとんどない。

ちなみに、前のメールで紹介した「竹中教授のみんなの経済学」
幻冬社は日本の経済問題を非常に分かりやすく説明してあって
おすすめです。webでは、

日経手帳「今日のことば」
http://www.nikkei.co.jp/rcafe/today/index.html

が単語を調べるのに便利です>葛貫さん(^^)



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