[BlueSky: 3107] Re:3096- ミーム


[From] HIROKI Masato [Date] Tue, 13 Mar 2001 23:08:04 +0900

げんごろうさん、識さん、須賀さん、皆々様

広木@また亀です。
「ミーム」とはなにかなんて、議論するつもりはなかったのですが、
なんか話し拡がっちゃってる〜。
ちょっとすべてにコメントはすぐには出来無さそうなので、
少しずつ。
まずは生物学的ターミノロジーという、
つまらない話から。

ゲンゴロウさん:
> しかしgeneもmemeも結果ではなく情報伝達を指している
> 言葉なので,形のないものであるという点において同様
> な「存在」であるように私には思えます。

「gene」は、「DNA」という物質的裏打ちがあります。
でも、「meme」には、ない。

> それと、「繁殖力のあるミーム」という表現ですが、繁殖に
> 「力」があるということで、私に不思議な気持ちが生まれま
> す。その繁殖の力の「源(みなもと)」は、なんなのだろう
> かと、、、

「力」、う〜ん。
「感染る」ってことですよね。「まねっこ」。
「まねっこ」だから、まねしたがる人がいればいいんでは。

識さん:
> ドーキンスさんは・・中略
> ハンフリーさんは・・後略

彼等が言っている事が正しいとは限らない...
いや、「利己的な遺伝子」は、名著ですが。

> 遺伝子により発現する行動もあれば、ミームが発現させる行動もあると思う
> のですが、いかがでしょう。

単純に「学習により行動が変化する」だけですよね。
それを「発現」と呼ぶのは用法としてちょっと違う気が。
「発現」というのは、元々備わっているものが現れることですよね。
「学習」の結果の行動は、元々備わっていたとは..
遺伝子発現に関するなら、
ミームに関わらず、既に「発現」してるはずです。
すなわちそれは、「学習能力」。

> ミームは化学物質としての遺伝子と同じく、ヒト(など)の進化の根源に関わって
> いるのではないか?

そんな事はないでしょう。
ひとの「変化」にはある意味関わっているかも知れませんが。
進化は、「遺伝子頻度変化」として定義されるものです。
ついでに言うなら、「進歩」である必要も、全くない。
行動の進化に重要なものは、
各個人(各個体)の戦略が最適であるか否か。
そのさい、「戦略」を構成する行動パターンは、「戦術」です。
「戦術」は、学習により、その場その場で変更可能。
「ミーム」は、「戦術」に相当するものかも知れない。

須賀さん:
> そうだと思いますよ。このことばはもともと、動物行動学的にみて
> 人間の社会行動には模倣にもとづく文化の伝搬が大きな役割を果た
> しているということを説明するためにでてきたのでしたよね。その
> ことを思い出すための単語と考えれば十分ではないでしょうか。

私のメールの意図はまさにこのへんでしたが。
主体は人間(生物)個体にある事を認識していただければ..

う〜ん、やっぱりつまらないメールだ(失礼)。
「利己的遺伝因子」とか、面白い話はいっぱいあるんですが。
でもよけいな事を書くと混乱を招きそうで(^^;
まずはこんなところから。

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広木眞達(HIROKI, Masato)
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