[BlueSky: 310] RE: 307 Re:299 RE:238 小学生に環境問題をどう教え るか?


[From] "Noriaki Ikeda" [Date] Thu, 5 Aug 1999 15:49:34 +0200

水野さん、後藤さん、みなさん、こんにちは。
ドイツ、フライブルクの池田です。

水野さんと後藤さんの議論:
>>水野さん:
>> 学校でやるべきことは、それを「考えられる」、ということだと思います。
>> つまり、考えるための「言葉」と「論理」を与えてやること、だと思うのです。
>>問題のイメージはもう十分に植え付けられているのではないか。
>>
>> そうすると、問題を語るための言葉は、まず問題の定量的な把握(数字)です。
>> そしてその数字の意味を把握すること。
>>
>> 。。。と、やはり小学生には難しいでしょうか? 

後藤さん:
>算数そのもののオチコボレが2,3年生のうちに続出するでしょう?
>算数の問題を解くのに、世間のことは一つも知らなくてよいから、実は、腕白小
>僧にとっての「勉強」としては、一番とっつきやすい筈のものだ、と思うのです。
>論理的な思考訓練にもなるし。

>でも、大半の子が、ついていけなくなってしまうのです。

私は、オチコボレが続出するようなことにはならないと思います。ただ計算問題を
解くだけだった算数を、現実のことがらを表わすための道具として使うことによっ
て、それまで、退屈だったものが、おもしろいものに変わってくると思います。算
数に興味を持つ子供が増えてくるのではないかと思います(計算能力が向上する、
しないは別問題。数字の意味を理解するという観点から)。そして、社会に出てか
ら役に立つのは、計算問題を解く能力より、こちらのほうではないでしょうか。

ある人から次のような話を聞きました。
「子供の数学世界オリンピックというのが定期的開かれている。そこで、日本人の
子供はいつも上位に入っている。日本人の子供に特徴的なのが、計算問題には異常
に強いが、証明問題の点数は平均以下、という結果。大半の人は、子供の文章を書
く能力が劣っているため、と言っているが、そうではなく、日本人の子供が数学を
理解していないからだ。ドイツの子供は、数学オリンピックではそれほどいい成績
は上げていない。しかし、彼らは、対数とはなにか、微分積分とはなにか、を理解
している。論理的に考える能力がある。」

大学で、グループで統計の問題を解いたりする時、私は、あまり深く考えずに、さ
っさっ、と計算をして答えを出してしまいますが、他のドイツ人は、たいてい私よ
り計算が遅い。というのは、彼らが、ただ単に答えを出そうとしているのではなく
て、理解しようとしているからです。

ある、ドイツの化学者が次のようなことを言っていました。
「知識は、ばらばらに頭の中に詰め込んで、そのままにしておいたのでは、何にも
ならない。それら一つ一つの「知識の島々」に橋を架ける(関連づける、結び付け
る)ことによってはじめて、脳の中に固定される、これが、必要な時に取り出せる
「使える知識」。知識の島は、それに対して、くりかえし連想する、思考する、橋
を架ける(他の知識と関連づける)ことによってさらに安定したものとなる。

今の日本の算数の授業は、論理的思考の訓練にはあまり役に立っていないのではな
いでしょうか。私は水野さんの主張される、問題の定量的把握は、算数を子供たち
にとって興味深くする、と思います。そして、算数を現実のことがらと結び付ける
(算数と現実との間に橋を架ける)ことによって、今までふらふらと泳いでいた算
数の知識がしっかりと固定された生きた知識に変わるのではないかと思うのです。

これには私の主観もかなり入っています。後藤さん、水野さんをはじめ、皆さんの
お考えをぜひお聞きしたいです。


池田憲昭



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