[BlueSky: 294] Re:285 RE:238 小学生に環境問題をどう教えるか?


[From] Ken Goto [Date] Wed, 04 Aug 1999 16:29:06 +0900

水野さん、青空MLの皆さん
                後藤@帯畜大です。

水野さん【285】:
> まず簡単に自己紹介をしますと、専門は物理学で、この3月まで阪大の
> 核物理研究センターにおり、この4月から京都女子大学に移りました。
> 来年(2000年)の4月からは、まさに環境問題を教育研究の対象に
> 含む「現代社会学部」という新学部を立ち上げるための準備をしております。
> 阪大時代の私のことは http://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/~ymizuno/
> 京都女子大のページは http://www.kyoto-wu.ac.jp/
> をご参照下さい。
・・・僕は児玉(基礎物理研)と同期です。大学1年のとき彼を知って僕はあっ
さり物理志望を諦めました。

水野さん【285】:
> あと、感覚的な心配(恐れ)だけだったら原始人でも出来る、定量的に問題を
> 把握することの大切さ、そういう量的な感覚を、是非とも養っていただきたいと
> 思います。小学生からこれをやるのは、なかなか難しそうですが、空間把握や
> 地理的把握の能力の発達をみながら、量的な問題に目を向けることの意味を
> 具体的に考えさせる、ということをやっていただきたいと思います。仕組や
> 構造の理解だけでなく、定量的な知識だけでもなく、その両者のからみの
> ようなことですね。小学生相手だと、身近なことから考えましょう、実行
> しましょう、だけで終わりがちですが、もっと(定量的に)巨大な問題が
> たくさんある、それは社会の仕組と関係しているということに目を向ける、
> というようなこと、です。
>
> それから、ネットワーク感覚のようなもの、つまり、相互作用の感覚というか、
> あらゆるものが、実はつながっている、という感覚も、重要だと思います。
> 量的に巨大な問題が相互に繋がっている、人口問題、食料問題、エネルギー
> 問題、南北問題、医療や科学技術の発達、メディア、国際関係、経済問題、
> 地域性、歴史性、そして政治、そういうようなことですね。具体的に話せば、
> 小学生にもわかるはずです。
>
> それから、そういう中で、自分も被害者であり同時に加害者である、という感覚
> と、だから、結局、どういう社会を「私が」作っていきたいと考えているのか、
> ということを、自分が自覚しなければいけない、ということ、だからしっかり
> 勉強をしなければ、と思わせることです。あるいは社会に目を向けさせること。
> 新聞を読まなければ、と思わせること(切り抜きから始めてもいいですね)。
>
> 身近な小さな実践から始めましょう、もいいですが、それだけでは、社会への
> アンテナを張ることの意味がわからない、のではないでしょうか。

う〜ん、とても高度な要求だ、と僕は感じます。【269】でも述べましたが、
幼児・初等教育で、僕が最も恐れるのは「背伸び」「頭でっかち」の危険性です。

・・・それは、見かけ上、いいことはしているかもしれませんが、「いい子」を
装っているだけで、本人自身も苦痛を感じているだけ、だと思うのです。

集団訓練(人間的コミュニケーションの養成)をつめば、人間は、性に目覚める
頃、自発的に(より広範的な意味での)社会正義にも目覚める、と、(少ない個
人経験、及び人間の生物学的特性に対する考察から)考えるのです。

自発的に目覚める、という点を僕は重視したい。なぜなら、それは、こども自身
の生活要求そのものから出てくる自覚だから、本当の(真剣な)課題になってい
る筈だからです。

思春期前のこどもについて正式な勉強をしたわけでもないので申し訳ないのです
が、僕は、思春期前のこどもは、基本的に腕白でお茶目の段階にあるのが自然だ、
と思うのです。

・・・で、「こどもらしく育った」あとに、思春期に悩み、、、はじめて、視野
を広い社会に向ける十分な準備が整う、と思うわけです。

だから、ローカルな課題でローカルな実践に「閉じて」いた方が、思春期前の段
階ではむしろ好ましい、というのが僕の考えですが、いかがでしょうか?

後藤 健
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帯畜大 生物リズム学 Phone (& Fax): 0155-49-5612

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