[BlueSky: 2883] Re:2882 有明海


[From] "SUKA, Takeshi" [Date] Fri, 9 Feb 2001 15:48:22 +0900

みなさん
     須賀です。

葛貫さん:
> > 細かい部分まで解析し、因果関係が明確になってから、対応策を
> > 取るというのが、いわゆる科学的な方法なのでしょうけれど、すべて
> > 解明しきれるものじゃない。

広木さん:
> 分析と対応は別物ですから、科学的云々の場合じゃないですね。

おっしゃるとおりだと思います。

有明海の場合について責任をもってお話しできるだけの知識が
ありませんので、ここではあくまで一般論として、このような
場合に科学的分析と政策的対応のあいだの関係をどんなふうに
とらえたらいいかを考えてみることします。

政策的対応をとることへの責任を回避するために「科学」という
「よくわからない呪文」がでてきてしまうのはおそろしい。

「現時点では科学的因果関係が明確でない」、と科学的良心に
したがっていう研究者に政策決定の責任までおしつけることに
なっては変です。

科学的解明をないがしろにしていいとは思いません。けれども
何もかも科学がおすみつきをあたえてくれるかのように考える
のも困りものです。生態系の神秘がすべてときあかされるまで
待っていたら何もできません。

科学的分析がもっている性質と限界、あるいはその予測の確実
性と不確実性をよくみきわめたうえで、それよりもひろい視野
から総合的な判断力をはたらかせて政策決定がなされなくては
いけないと思います。

そのためにはこのような分野の科学の位置づけについて、社会
のなかでもっと幅広い対話がなされる必要がありそうですね。

このような内容について大学の政治学や法学のコースのなかで
教育課程が組まれるぐらいになるといいのですが(すでにある
のでしょうか)。













Takeshi SUKA
Nagano Nature Conservation Research Institute (NACRI)
E-mail: suka@nacri.pref.nagano.jp


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