[BlueSky: 2793] Re:2787 ウンコ循環


[From] "Sato, Kenji" [Date] Fri, 26 Jan 2001 09:09:08 -0500

佐藤@ウンチにはちょっとうるさいぞ、です。

> [Bluesky: 2397]からのスレッドで紹介した永田農法で使われる液肥の
> 原料は,厨芥と屎尿だそうです。それを完熟させて液肥として使う限り,
> 寄生虫の卵の循環は防げそうな気がします。液肥製造過程で出てくる
> メタンも燃料として使うと書かれていました。
前にも討議されたのかもしれませんが・・・。
厨芥や屎尿のメタン発酵は嫌気発酵で、ある程度熱も上がるので、寄生虫卵や大
腸菌類もかなり減るでしょうが、寄生虫卵の中には結構強いやつがいるし、カビ
類も生き残るのが多いと言うのを読んだことがあります。少なくとも現在よりは
公衆衛生へのリスクがプラスされるのは確かな気がします。

液肥は主要成分の植物繊維や各種成分が分解されており、肥料としては速効性が
あるのですが、植物の生育段階の適当な所で施肥をする必要があるので使いづら
い(農作業カレンダーを書き換える必要がある)。また、肥料成分が水溶成分が
主体であるので施肥を行いたい場所から速やかに流出してしまう(雨の季節には
使えない)・・・などという問題点が指摘されていました。昔ながらの藁を加え
た堆肥の方が、徐効性があるので使いやすい様です。化学肥料だと数グラムで済
むところに、液肥だと何リットルも運ばないといけないと言うのも問題を難しく
しています。液肥は化学肥料に慣れた農家はまず使わないから、うまく掃ける
ルートを作るのは非常に困難でしょう。液肥から水分を飛ばして加工ペレット化
したらエネルギー的に意味ないし・・・。

> プラントを設計した永田さんは,インドに6000万,中国に9000万と
> いわれる人畜共用の肥溜めが病原体の温床になっている可能性を考え,
> それらを液肥製造プラントに置き換えたいという夢をもっているそうです。
インドや中国で60年代から国家プロジェクトとしてバイオガスの普及を今でも
細々と行っています。それぞれの国で数百万戸に設置されています。中国では村
の数軒が共同で一つのバイオガスに屎尿を投入していました。しかし、メタンガ
ス発酵はメンテナンスが面倒なようで、うまく動かなくなって放置されるケース
が多いです。これらの国々ではガスを得るのが主目的で、病気の抑制を目的とは
していませんが、先に述べたように液肥は農業に使いづらいので、残念ながら、
永田さんの夢は夢で終わりそうな気がしてなりません。


▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。