[BlueSky: 2694] 市場と社会 Re:2693 市場


[From] "SUKA, Takeshi" [Date] Thu, 28 Dec 2000 13:09:16 +0900

葛貫さん みなさん

   須賀です。

葛貫さん:
> このような「市場」が個々人の幸せにつながるとは思えませんが、
> 現に存在し、先進国では、そのシステムに組み込まれて、今日の
> ご飯を得ている者がほとんど。・・・(中略)・・・
> 贅沢と豊かさは同じものではないと身にしみて知る前に、そのよう
> な選択をヒトはできるのだろうか。
> この場合、現地の人にとって「贅沢」の追求と、外部から「ローカル
> な文化を守ることは大事なんだよ。取り返しがつかないから。」と課
> されるのでは、どちらが「基本的人権」が守られたことになるのか。

日本では社会がほとんど市場経済活動をおこなうための組織におおいつ
くされたような雰囲気になってしまっていて、「市場」の原理イコール
「社会」の原理みたいな錯覚をついもってしまいますよね。でもおそら
く市場経済そのものがその外部にある社会のしくみや動き(たとえば教
育・福祉・医療・環境・民主主義・行政制度・草の根の地域活動・家庭
などなど)によってささえられているのだろうし、またそういったもの
が「市場」のゆきすぎのもたらす弊害に歯止めをかける役割を果たさな
ければならないのだろうと思います。(どっかでお勉強したような凡庸
な話で恐縮ですが。)ただ、こういう点でまだまだ日本人は考えがたり
ないというか、ひ弱で気迫不足なところがあるんじゃないかということ
を考えさせられる会話を最近しました。

ある飲み会でネパールから来た留学生とした会話です。その方は日本に
いらっしゃる前にバングラデシュの大学にも留学されていたそうです。
僕が10年ほど前に1か月ほどインドを旅行したときの話から、インドの
話になったのですが、そのなかで僕が「インドは歴史の長い国で文明と
して日本が経験したことのないような大きなサイクルをいくつも経験し
ている、そういうところから学ぶべきことの多い国だと思う」といった
意味のことを言ったところ、彼は「インドのデモクラシーからも日本は
学ぶことがたくさんあると思うよ」と言いました。そのあとの会話から
気づかされたのですが、インドにはたくさんの民族や言語が生きていて、
そのあいだには歴史的に征服・被征服といった関係もありました。その
ような国でデモクラシーをおこなうとはどういうことか。想像しただけ
で、とてつもないエネルギーや活力を必要とすることだとわかります。
今のインドの首相か大統領は、10の言語をしゃべるそうです。

グローバルな意識で基本的人権なんてことを考えようと思ったら、まず
デモクラシーというものをそのくらいのスケールでとらえられる気力が
必要なんだな、と感じさせられました。





Takeshi SUKA
Nagano Nature Conservation Research Institute (NACRI)
E-mail: suka@nacri.pref.nagano.jp


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