[BlueSky: 261] Re:230 知の庶民化


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Mon, 2 Aug 1999 20:05:06 +0900

Bluesky-MLのみなさん、日野さん、こんにちは、葛貫です。

>実物のカブトムシをみて「図鑑と一緒だ!」。
>細かいことですが、「図鑑が一緒」なんであって、誰かが報じた・書いたことが
・・・・・中略・・・・・
>自然観察会などをやると、図鑑と一緒だと安心して、その後興味がなる子供群
>というのと出会います。だから変な発見をするガキがいなくなった(少なくなった)。
>こういう時にも「答え合わせ」の傾向が表われているようです。


学生時代、大学のあった府中市で、自然観察会を開くサークルに入っていました。
一般の人の参加を募って、自然観察会を開いていたのですが、大人も子供も
自然の中にいることを味わうというより、コレクターのように、自分は「何々を見た
ことがあるんだ」ということを記録するために参加しているような感じの人が多かっ
たように思います。
カワセミ等、珍しい鳥をプロミナーの視野に入れると並んで順番を待ってみるのに、
カルガモでは、「もう見たことがあるからいいです。」と言われてしまう。
植物でも、昆虫でも、同じような反応が多かったような気がします。
観察会を企画する方が、まず生物の名前を教えることから始めるからいけないの
かなと、「よく観察して、特徴をとらえてあだ名をつけてみよう。」みたいなこと
をしてみたこともあったのですが、うけませんでした。
生きて目の前にいるそのものを観ることより、名前をメモることに一生懸命になって
いる、何か貧しいな、と思ったことを憶えています。

昨日、久し振りに大井の野鳥公園に行ってきました。
シルバー・ボランティア(でしたっけ?)の方がいらっしゃり、子供達にいろいろなこと
ゆっくりと、ていねいに、教えて下さいました。科学博物館にも同じような方がおられました。
いろいろなことに追われてせわしなく、知識を与えようと焦る親の世代よりも、ゆっくりと、
時間をかけて子供が思っていることを引き出してくれる、聞き上手な一つ上の世代の方が、
子供を伸ばせるのかもと思いました。私の父も、子供である私達に対しては短気でしたが、
孫達は、何を言っても面白いらしく、信じられない位、気長に相手をしていました。

>ゲームもそれと同じ様な危険性をはらんでいるような気がしてなりません。
>今や生き物育成ゲームもあり、コンセプトとして「生き物を育てることで、子供の
>感性を育む」とも言われてますが、ゲームの大半は視覚情報でのシュミレートです。
>聴覚、臭覚、触覚から得る喜怒哀楽による愛着心はどうなるんでしょうか?
>いまの社会は視覚情報が優先傾向にありすぎると思う。

ゲームでさえ、自力でやるのではなく、すぐに攻略本を買ってきて、試行錯誤したり、
「なまの感動」を味わうことが少ないように感じられます。
マニュアルに従うことは、既知の世界で、安全だけれど、先が見えている飽き飽きと
するような時間を潰して行くということですよね。まあ、現実はそれほど甘くないでしょう。

Y.Kuzunuki <kuzuny@geocities.co.jp>






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