[BlueSky: 2604] 人間の権利と生物の生存権


[From] "SUKA, Takeshi" [Date] Mon, 18 Dec 2000 12:39:34 +0900

akiraさん みなさん

   須賀です。

akiraさん:
> 環境問題とのからみで言えば、現代文明を支えているもっとも重要な仮想は、
> ヒューマニズム、つまり、人間至上主義です。
> 「ひとの命は地球より重い」という言葉に、それがよく表れていますね。
> 人間にとってはなんとも心地よい美辞麗句です。
> これを分かりやすく意訳すると、人間存在とその欲望は地球上のその他の
> すべての存在よりも、重要であり、優先される。ということでしょうか。

面白い問題だと思います。わたしは自然保護の仕事をしているのに、
この問題についてはやや保守的?なので、その立場から考えてみます。

人間の基本的人権を尊重することと人間の欲望を無制限に拡大する
ことは区別できるし区別するべきだとわたしは思います。

akiraさん:
> (人間以外の生物や生態系など、究極的には人間に奉仕するために存在する。
> この思想は、熱帯林の遺伝子資源論などによく表れていますね)

熱帯林を保全することは、そこで生活をいとなんできたひとびとの
動植物利用の文化やそれに関わる精神文化の消滅を防ぐという意味
もあります。これは遺伝子資源論とも関係がありますが、その地域
のひとびとの基本的人権をまもるという考え方でもあります。また
この考え方は、事実上、熱帯林の野生生物の(個体としてではなく
種としての)生存権をまもるという考え方と両立可能です。

akiraさん:
> 日本国憲法という国家の根本法によって消費文明が保障・推進されている
> 限り、環境問題の解決などあり得ません。

わたしはこの点についてはやや疑問ですが、環境問題の解決のために
普通の法律ではなく憲法にまでふみこむという発想は興味深いですね。

Takeshi SUKA
Nagano Nature Conservation Research Institute (NACRI)
E-mail: suka@nacri.pref.nagano.jp


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