[BlueSky: 2553] Re:2548 COP6


[From] "ICHINOSE,Takeshi" [Date] Wed, 06 Dec 2000 02:00:32 +0900

 久しぶりの投稿になります。一ノ瀬@尼崎市 です。

小宮さん<
 森林吸収量を大幅にCO2削減枠にカウントできるという日本案が各国に
受け入れられなかったのが大きな原因であったようですが、次回までに
なにか解決策が出るでしょうか?

 COP6の決裂は大変に残念な結果ですが、今の交渉の枠組みの中では
早晩避けられない結果だったのではないかと、私には思われます。

 今更指摘するまでもないことかも知れませんが、1990年の各国排出
量を基準にする事自体がおかしい。また、そこからの削減幅についても、
科学的、技術的な観点からの、合理的な方針が存在していません。
 これでは、大量の温暖化ガスを排出している国に対して、それを既得権
として認めてやる一方で、そこからの削減幅については、交渉合戦での力
比べで決まることになってしまいます。混乱は避けがたいし、たとえ合意
に至っても、互いに強い不公平感が残ってしまう。

 削減目標が、このように説得力を欠く内容であれば、各国の政府代表は
なおのこと大きな削減に同意し難くなります。
 政府は、国民に対して排出削減への同意を求めなければなりませんが、
なぜその削減幅であるべきなのか、説明できないような削減案など、国民
に支持して貰えるわけもありません。むしろ、民主主義がまともに機能し
ている国ならば、そのような根拠不明の削減案は、葬り去られてしまって
しかるべきではないかとすら思われます。

 個人的には、COP3の不合理な(というより、”丼勘定”と形容して
もよいような)合意内容を一旦破棄して、”エネルギー効率”の観点から
各国比較を行って、再度削減目標を設定し直すべきではないかと考えてい
ます。
 民主主義という政体を前提とする限り、国民の生活様式に変更を迫り、
生活水準を大きく落とすような削減策を、国家権力が主導して実行するこ
とは非常に難しい。となると、政府に出来るのは、効率改善を促すぐらい
しかありません。
 究極的には、生活様式そのものを変更する必要が出てくるでしょうが、
これを国家権力によって実現するなど、全体主義そのものです。その危険
な副作用については、改めて指摘するまでもありません。結局、国民一人
一人がそういう意識を持たないことには、どうにもなりません。NGO等
の地道な活動に期待したいところです。

 しかし、COPの場で、今更”エネルギー効率の観点で目標を決め直せ”
と主張しても、受け入れられるとはとても考えられません。
 返す返すも、COP3における方針選択のミスが悔やまれます。


小宮さん<
 環境税を導入する代わりに、その分減税する、という案が出ていました。

 増減税の中立は、景気への影響が中立であることを意味しません。
 GDP/温暖化ガス排出量の比率が向上(=広い意味での効率Up)し
ない限り、増減税中立であっても、環境税は景気にはマイナスに寄与しま
す。



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