[BlueSky: 2529] 人工生命 Re:2508 仮想空間


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Wed, 29 Nov 2000 15:22:28 +0900

こんにちは、葛貫です。

中澤さん:
> 仮想と現実の区別がつかなくなる方向に技術が進歩していくならば,
> 区別がつかなくなっても問題ないように仮想空間でも現実並みの状
> 況判断が要求されるようなフィードバックがあればいいのかもしれ
> ません。つまり,説教でなくて,実際に痛い目にあわせるとか。

実際に痛い目にあうというわけではないのですが、以前、遊んだこ
とがあるセガの「Nights into Dreams」というゲームを思い出しました。
眠って夢の中で飛び回ってアイテムを集め、ある点数を稼ぐと先へ
進め、B、Cランクのクリアと、Aランクのクリアでは、最後にでてくる
ムービーが違うというゲームなのですが、ゲームの背景にA-Life
(人工生命)が組み込まれていて、プレーヤーの影響を受けつつ、
ナイトピアンという住人やナイトメアンという敵キャラクターが、生活
や繁殖(新種の誕生もある)、学習等をして、独自の生態系を作り
上げて行くようになっていました。

一番下の子供は、まだ小さかったので、家族5人で順番待ちでゲー
ムをしたのですが、Aクリアを目指した夫や私、次女は、その世界の
住人に構わず点数を稼ぎまくり、運悪くぶつかったり、巻き込んでし
まった住人は消えてしまう、でも、もう邪魔されなくていいじゃん位に
思っていました。長男は、点数などに構わず、ピアン達を育てたり、
雑種を作ることを楽しんでいました。

しばらくして、息子が「僕の育てたピアンがいない」と捜し回り、
「点数は、個人別にセーブできるけど、A-Lifeは全員共通。
ピアンを蹴散らかし点数を稼ぐ父・母・姉がAクリアして終わるまで、
育てても無駄!!」と、キチンと説明書を読んで見ていた長女が
説明してくれました。息子は、ビェー、ビェー泣き出し、ゲームの中の
ピアンの世界は荒れ果て、私達が動かしているゲームのキャラクター
が現れると、ピアン達は、そそくさと逃げ出すようになり・・・・。
それでもって、何とか達成したAクリアとBクリアのラストのムービー
の違いは、バックに流れる歌を歌っているのが子供か大人かという
違いと、ちょっとした絵の違いだけ。
「おばさん(私の妹)のうちでは、おばさんのキャラクターが通る時は、
ピアンが歌いながら集まってきて、花びらまいてくれたってさ。
いやぁ、人生や世の中の縮図を見るようだ。ゲームのA-Lifeはリセット
できるからいいけどさ。」と長女に言われ・・・・・。
いろいろ、考えさせられたゲームでした。

ゲームでは作られたプログラムを越えることは起こり得ない。
選択肢も予め決められていて、その中から次の行動を選ぶしかない。
テレビをボーッと見ているよりは、ましかもしれないけれど、想像力、
創造力を培うというより、ゲームのクリエーターが与えた設定の中で暇
潰しするものなのかもしれません。A-Lifeでも、組み込めば別なのかも
しれませんが。

井上夢人さんの「パワー・オフ」というA-Lifeのプログラムを組み込んだ
コンピュータウイルスに関するSF(集英社文庫)では、世界中のコンピ
ュータが制御不能の状態になり、ウイルスを倒すのではなく、共存して
ゆくしかないかという終わり方をしていたのが印象的でした。

バーチャルの世界で、緊張感を持ち続けさせるためには、このような
ものも必要なのかなとも思いました。

では。



▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。