[BlueSky: 2453] 温暖化?


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Fri, 20 Oct 2000 10:23:18 +0900

こんにちは、葛貫です。

10月18日の 朝日新聞に、
「亜熱帯のチョウを埼玉県で初確認 「温暖化」で北上?」
という以下の記事がありました。

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東南アジアなど主に亜熱帯に生息しているチョウ・ナガサキアゲハが
埼玉県で初めて確認された。・・・中略・・・知多半島での定着を昨年
確認した南山大学の阿江茂名誉教授(昆虫生態学)は「主食のミカ
ンが分布する太平洋岸に沿って北上しており、埼玉でも平地なら生息
の可能性は十分ある。温暖化が一つの要因と言える」と話す。 一方、
「飼育されているチョウが偶然飛んできたという例もある」と指摘する
のは大阪府立大の石井実教授(昆虫生態学)。石井教授は「1匹だけ
ではその地域に定着しているとは言えない。来春再び姿があれば埼玉
で冬を越せたということ。興味深いので注目したい」と話している。

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内容を読むと、蝶の分布域の北上の原因として、温暖化以外の要因も
考えているようですが、目立つ字で書かれている見出しが与えるインパ
クトは強いですね。

昨日のMSNニュースで、
「あなたも危ない?忍び寄るマラリア、昆虫学者からの警告」
http://journal.msn.co.jp/worldreport.asp?id=001019ns_bite&vf=1
という以下の記事をみかけました。

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マラリアというと、熱帯地方でかかる感染症だと思われがちだが、実は
そうではないらしい。国連の調査委員会は、地球温暖化の影響でマラ
リアを媒介する蚊の生息地がヨーロッパやアメリカにも広がっていると
警告する。だが、昆虫学者ポール・ライターによれば、そうした見方は
誤りだという。
・・・中略・・・
NS: では、マラリアやデング熱を蔓延させるのはどんな原因なのですか。

 人口の増加、森林の減少、新しい農業様式、灌漑施設、人々の移動、
衛生サービスの低下、治療薬への耐性、内戦などさまざまな要素が上げ
られます。デング熱の場合は、都会の病気と言えます。デング熱を媒介
する蚊は、人間の居住地の近くに住み、密閉された環境を好みます。都
市化の急速な拡大によって、蚊に最適の生息地が生まれました。また、
飛行機や自動車がウィルスを運ぶこともあります。
・・・中略・・・
 今は生物学が飛躍をとげる変革の時を迎えています。新しいワクチン
の開発や治療法、感染源のコントロールなど、さまざまな研究が実を結
ぼうとしています。人材や資金が集まれば、感染症対策に役立てること
ができるはずです。

 つまり、近代経済が科学の振興をもたらしたことによって、こうした病気
は退治されてきたのです。非科学的な気候研究によって、そうした努力が
すべて無駄になってしまうとしたら、それこそ重大な過ちを犯すことになる
でしょう。

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気候研究を非科学的と決めつけてしまうのは、どんなものかと思いますが
「温暖化のせいよ」と言われると、「ああ温暖化のせいか」と納得し、それ
以外・以上のことを考えるのをやめてしまっては拙いですね。
人の営為がもたらす温暖化を抑制するように努めることは大切だけれど、
温暖化さえ抑制すできれば、問題が解決できるという訳でもない。
いろいろな切り口からものごとを見る習慣をつけて置かなければと思いま
した。

最近、見かけて気になった言葉:
「相関関係があっても、因果関係があるとは限らない。」
一旦身についてしまった「ものの見方の癖」を解くのは、難しい・・・。





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