[BlueSky: 2377] Re:2373 調査捕鯨拡大にたいして、米が制裁発動


[From] Minato Nakazawa [Date] Mon, 18 Sep 2000 09:53:14 +0900

中澤@東京大学人類生態です。

(件名:[BlueSky: 2373] Re:2369 調査捕鯨拡大にたいして、米が制裁発動
に於て)
Mon, 18 Sep 2000 08:01:29 +0900頃,yuichiro komiyaさん:
> ここからは私見ですが、今の日本には捕鯨再開に対してこれ
> ほどまでに明確な信念はないのではないでしょうか?欧米を
世論としてはそうかもしれませんが,捕鯨再開を目指している事業
者には,かなり明確な再開根拠があると思います。水産庁でも,
世界各国に対して地道な対話努力をしているということです。

小松正之「クジラは食べていい!」(宝島社新書)には,鯨類はか
なり大食らいなフィッシュ・イーターなので,捕鯨禁止だけすると
漁業者とクジラの競合関係が高まることが指摘されています。観測
データ(十分ではありませんが)で裏付けられた主張なので説得力
があります。海洋生態系についての同様な指摘としては,松田裕之
「共生とは何か」(現代書館)も参考になります。

> 中心とした、今の国際世論に反してまで調査捕鯨を拡大したり、
「クジラは食べていい!」によると,国際世論ではなく,グリーン
ピース世論,あるいはアングロサクソン世論なのだそうです。反捕
鯨国は世界で16ヶ国しかなく,そのうち強硬なのはオーストラリア
とニュージーランドだけだそうです。IWCで反捕鯨国が多いのは,
加盟に必要な分担金が多いために,経済発展途上国は加盟できない
でいる一方,反捕鯨側には,1980年代に捕鯨などまったくしたこと
のない国が多数参加したという事情のためだそうです。

日本のマスコミは米国の顔色を見て書く記事が多いので,英米豪
あたりの風潮が反捕鯨だとそれが国際世論のような気になりがち
ですが,CITES(ワシントン条約)では,ミンククジラについて,
許可証があれば国際商業取引可能な附属書IIへの転載を求めた
ところ約半数の国が賛成票を投じたということです。

> まして捕鯨再開するためには、よほど捕鯨に対する強い根拠
> が必要でしょう。クジラは絶滅種ではないから捕獲していい、
> ではなく、鯨を取る必要が日本にはある、ということを打ち出さ
日本には,ではなく,漁業をする以上は,海洋生態系の最上位
に位置していて,それなりの繁殖力ももっているクジラだけ
獲らないというのでは,バランスが崩れます。

> 主要産業にしている国ならともかく、食料の40%を廃棄してい
> る今の飽食日本に、調査捕鯨を再開する明確な根拠が説明
この点に関しては,輸入に頼っているくせに食料の40%も
廃棄する方が間違っているので,そちらを改善すべきだと
思いますが,いかがでしょうか?

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Minato Nakazawa, Ph.D. <minato@sv3.humeco.m.u-tokyo.ac.jp>
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