[BlueSky: 2140] 有毒藻


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Tue, 11 Jul 2000 19:33:42 +0900

こんにちは、葛貫です。

WIRED NEWS http://www.hotwired.co.jp/news/news
に、「有毒藻、南カリフォルニアへ進出」という記事がありました。
http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20000711306.html

水槽用植物として、見栄えが良さを求めて開発したCaulerpa taxifoliaの
亜種が、天然海域に流出して、酸欠を起こし、海の動植物を窒息させ、
多くの小生物の卵をも殺してしまう毒素を放出している。
その藻は、岸に打ち上げられても10日間も死なず、満潮時あるいは雨水
に押し流されて海へ戻れば、生き返り、再生する。小さな一片から新しい
全体を再生する『砕片分離』という増殖法を繰り返して広がる。
物理的手法で藻を一掃することはほぼ不可能に近い。

この藻類を用いた水族館では、問題は起こらなかったのかな、とも思うの
ですが、流出してしまった今現在、海域の監視、丁寧な駆除以外、有効な
対処方策がない。米国では法的に輸入・販売を禁止したそうですが、愛好
家は飼育業者から藻を購入することが可能と考えられるそうです。

人が変種について評価している部分は極一部分で、安易・不注意に外界
へ放つと、取り返しのつかないことになるという、厳しい一例だと思います。

別の話ですが、人獣共通感染症(Zoonosis)連続講座
http://www.primate.gr.jp/yamanouchi/index.html
の「第100回 人獣共通感染症の制圧」http://www.primate.gr.jp/yamanouchi/100.html
では、野生動物由来の感染症の制圧にかかわる問題と、医薬品や移植
臓器を介した医療の開発により懸念される潜在的人獣共通ウイルス感染
症の両面に関する問題が整理されていました。

「やってみなきゃ、どんなことが起こるかわからない」一種の博打のような
ことをし、犠牲を払いつつ進歩してきたんだよ、と言われれば、そうかも、
とも思いますが、知らないところで、勝手に大きな博打を打たれるのは、
迷惑だなと思います。



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