中澤です。ご無沙汰しています。
Journal of Nutritional and Environmental Medicineの最新号に載っていた
カンファレンス報告(去年の暮れに英国で行われた)によると,遺伝子組換え
ポテトをラットに与えるとさまざまな生理的異常が起こったという報告が
あったそうです。実は去年の9月,Lancetに掲載されたとのことでした。
http://news.yahoo.co.jp/headlines/mai/000621/dom/13580000_maidome056.html
毎日新聞のニュースによると,ラウンドアップ・レディ大豆は
収量が減るというレポートが出て問題になっているそうです。
「除草剤使用量も減らない」という結果は皮肉なものです。
こういうレポートを読むと,メカニズム全体がわかっていないうちに
好奇心だけで応用してしまうことのデメリットを強く感じます。
中村圭子「生命科学者ノート」岩波現代文庫を読んでいたら,20年も
前に中村さんは問題の所在をしっかり把握していたようで,
遺伝子工学を進めるために必要なのは,1)正確で平易な解説,
2)含まれる技術の整理とその意味の検討(科学研究の中で使うこと
と技術として利用することの違いも含む),3)生命に対する
価値観の検討,4)人間を総合的に考えること(私たちはどんな
生き方をしたいのかという基本を問う)だと書いています。
なかでも4)が大事だと思うのですが,なかなか日常そこまで
考える余裕はない人が多いのでしょう。
=====
Minato Nakazawa, Ph.D. <minato@sv3.humeco.m.u-tokyo.ac.jp>
Department of Human Ecology, Univ. Tokyo
Phone:+81-3-5841-3486, FAX: +81-3-5841-3395
[WEB] http://sv2.humeco.m.u-tokyo.ac.jp/~minato/index-j.htm
(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。