[BlueSky: 2016] Re : 2013 人格という厄介なフィクション


[From] "Hiroyuki Sagawa" [Date] Wed, 24 May 2000 12:30:38 +0900

みなさん、こんにちは、佐川です。

蛞蝓レスです。
↑ナメクジと読むらしい。
最近、ナメクジ用の殺虫剤が売られていますが、ナメクジぐらいで目
くじらを立てるのも何だか殺伐としていますね。

[葛貫さんwrote:2013]
> 確か、英語では、赤ん坊の代名詞は it であったように記憶します。
> 幾つ、あるいは、どのようなことができるようになったら、he や she
> になるんでしたっけ?

辞書を見ると、“it”という語は、存在一般に対して広く使われる言葉で、
日本語の“それ”とは、ちょっと意味合いが違うようですね。

で、昔は乳幼児の死亡率は今よりもずっと高かったわけですよね。
で、子供の死亡率が低くなる7−8歳までは、あの世とこの世の境界
に漂う、儚い存在という意識が、かつての日本において広く持たれて
いたようです。

もし、ヨーロッパにおいてもそのような意識が持たれていたのなら、
“it”は「儚い存在」を指している、とも解釈できます。
#私の勝手な解釈ですが。

[葛貫さんwrote:2013]
> 逆に、今の子供達の多くが、he や she として扱われず、it として
> 扱われているような印象を受けるのは、彼らの方も、怒り、悲しみ、
> 悔しさ等々、種々の感情を「ムカツク」の一言で総括してしまう、
> 言っちゃ悪いけれど、赤ちゃんが泣いたり、犬が吠えたり程度の感
> 情表現しかしないからなのかなとも思えました。

では、昔の子供は、heやsheとして扱われていたかというと決してそんな
ことはなくて、そもそもかつての村落共同体的な社会においては、子供
をheやsheとして扱う事なんて無かったはずです。
 もしそうでないのなら、『子供を一個の人格として扱いましょう』という
“運動”も無かったはずですし、かつての村社会においては「人格」と
いう概念自体が極めてフィクショナルなモノだったはずです。

#つまり、「人格」というフィクションを日本に移植しようとする試み
#は、未だに成功しないわけです。

それで、なぜ「ムカツク」の一言で総括してしまうのかというと、それ
以外に適当な言葉が無いのと、それが彼らの「気分」に“ハマって”
いるからで、彼らのうちに湧いてくる感情は伝統的な“怒り”や“悲し
み”とは微妙に違うからだと思います。

しかし、振り返ってみれば、いつの時代だって若者は“大人の言葉”に
違和感を感じて“自分たちの言葉”を紡いできたのではないでしょうか?

・・蛇足・・
いわゆる子ギャル語の流行る前にTVの街頭取材のディレクターたち
はそっくりな言葉遣いをしていて、彼女たちがそれを真似た可能性も
あるんですよ〈多分、逆かも〉。




佐川でした。


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