[BlueSky: 2000] Re:1994 少年犯罪


[From] Ken Goto [Date] Wed, 17 May 2000 14:44:00 +0900

青空MLの皆さん
                       後藤@帯畜大です。

大塚さん【1994】:
>  お年を召した委員の方が「自分たちの世代は受けた教育が良かったの
> で今のように少年の凶悪犯罪が多発することはなかった」などという認
> 識で議論していたら、困るなぁというのが上記の段落の趣旨です。
了解しました。
ただ、大塚さんご紹介のページで、件の委員会の議論概要を読んでみま
したが、↑のような認識が全体の基調になっているような印象を感じま
せんでした。

大塚さん【1994】:
> > 学校の様子も変わりましたし、家庭環境や地域環境も大きく変わりまし
> > た。この変化が総体として子供にプラスになるような変化だった、とは
> > 到底思えません。
>
>  いつからの変化か、にもよると思います。
先のメールに書いたような気がしますが、僕が想定している変化は(少
なくとも「学校の様子」については)管理教育が愛知と千葉でスタート
した頃を起点としています。

・・・・1970年代の後半(昭和50年代前半)だと思います。

家庭環境や地域環境については、それよりもっと早く、高度経済成長の
過程とともに変化してきた、というつもりでした。

大塚さん【1994】:
> 無意識に自分の子供時代と
> 比べてしまいがちですが、そうすると客観的な議論ができなくなります
> ね。それを承知でここでは個人的な感想を少しだけ書きます。平均より
> やや貧しい階層出身の私が所謂ブランド大学へ進学して動物の生態だの
> 行動だのの研究を志すことができたのは戦後民主主義のおかげだと思っ
> ています(現在順調だと言い難いのは主に自分のせいです)。
えっと、もしかして、僕が戦後民主主義を否定している、というように
誤解されたのでしょうか?

・・・もっとも、この民主主義が本来の形で浸透した、とは思っており
ませんが。「本来の形」とはなんぞや、と突っ込まないでね。

・・・ただ、日教組が頑張っていた時がありまして、その砦みた
いな中学校に昭和40年代前半に通っていました。僕の想
定する「本来の形」はその中学校での体験からイメージし
たものなので「偏向」している可能性が高いかも。

大塚さん【1994】:
>  母(戦後には没落した地主階級)が小学生のころ、同級生の中には父
> 親が戦争に取られた小作農の子供がいて、子守をしながら学校に通って
> いたそうです、赤ん坊が泣き出すと教室から出なければならない。その
> ような子供達には進学のチャンスなどなかったでしょう。
昨年の夏だったかにも述べたと思いますが、似たような状況は高度経済
成長期まで続いていたと思います。地方農村から中学卒業生が毎春、
「金の卵」として大阪や東京に集団就職していた時期です。

・・・昔話の序でに、、、今やっているかどうか知りませんが、昭和4
0年代前半、職業適性検査なるものを中学校(横須賀市)で実施
していました。全国的なものではなかったか、と思います。

手の器用さをテストするような検査、つまり、工員として適正な
る器用さをもっているかどうかをみたのでしょう。僕自身、どの
ような職種(工員)でもOKという判定を貰い、大満足しました。

因みに、僕の出身中学(横須賀市)での中卒就職率は、昭和40年代前
半でだいたい10〜15%ぐらいだったと思います(50人クラスです
ので、一クラス5名から10名弱)。いわゆる当時の不良少年(後藤
【1991】で既述)は中卒で就職する割合が相当に高かったものです。

大塚さん【1994】:
>  講義を始めても食事を続けようとする学生の出現と上記のことが直接
> 関連しているとは私も思っていません。
因みに、、、大塚さん御出身の大学では、昭和40年代後半、講義中に
学生がタバコをスパスパやってました。人類学のI教授や生物物理学
(数理生態学)のT教授などは講義中に喫煙しておりました。

********

さて、読み返してみて、やっと大塚さんの趣旨が理解できました。趣旨
違いのことを↑に連ねてしまいましたが、折角ですのでそのままにして
おきます。

大塚さんは、【この変化が総体として子供にプラスになるような変化だ
った、とは到底思えません】という僕の主張に対する反証を御提示され
たかったわけですね。

戦後の変化のすべてがいけない、ということが僕の趣旨ではありません。
貧乏である故に進学できない、という状況は確かに少なくなり、プラス
の変化だったと思います。しかし、同時に、昭和40年代中頃から国公
立大学の授業料が年々高騰してきている、というマイナスの側面があり
ます。

・・・現在、月額4万5千円前後ですが、昭和40年代中頃では月額千
円です。下宿代も、月4千5百円〜1万円程度ですので、週2度
の家庭教師をすれば、奨学金を貰えば親からの仕送りが全くなく
てもやっていけた筈です。

これを言い換えると、現在では親の負担が大きくなっており、学生の親
依存率が高まっている、ということです。ですから、総体としてみると、
学生の大人への成長が遅延する傾向にある、と思います。

ただ、僕が念頭においていたのは、進学率の問題ではなく、小中学校の
「いじめの蔓延化」という近年の傾向で、上述のような学校、家庭、地
域の変化におけるマイナス面が原因になっている、と申し上げたつもり
です。

後藤 健
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帯畜大 生物リズム学 Phone (& Fax): 0155-49-5612

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