[BlueSky: 1990] Re:1975 少年犯罪


[From] Ken Goto [Date] Tue, 16 May 2000 18:51:45 +0900

青空MLの皆さん

                        後藤@帯畜大です。
葛貫さん【1975】:
> 今は、子供時代から、身体感覚が病んでしまっている、否、
> 「〜のはず、〜べき」で、身体感覚を無視するように育てら
> れてきているのかもしれない、他者とコミュニケーションを
> とる術も身につけてきておらず、表現できずに溜め込んでき
> た想いを、自分で制御できないかたちで爆発させることしか
> できないのかもしれない、と思いました。
> 子育てをしている親の世代が、既にそうなのかもしれません。
「〜のはず、〜べき」という価値観なり価値感覚と「身体感覚」を対比
「すべき」かどうか、若干の疑問を感じました(同時に育成できる「は
ず」では?)。それはともあれ「身体感覚」の軽視が進んで来ていると
いう点に関しては同感ですが、件のバスジャックの少年がこのことと関
係しているという点にも疑問を感じています。

・・・断片的な情報しか知らないので原因を特定すること自体に無理が
ありますが、、、いじめを受けていたらしいこと、家庭内暴力の
末、精神病院に入院させられたという情報から、彼の追いつめら
れた心理状況が分かるような気がしました(つまり、僕が彼の立
場(上記のような推論上の立場)に立ったら、同じような犯罪を
犯す危険性を感じ取ることができる、ということであって、上記
推論が正しくない場合には判断を保留する、ということです。)

葛貫さん【1975】:
> 「仲良くしなければならない」というよりむしろ、自他の区別
> をはっきりつけ、お互いを尊重し、適切な距離を保つことや、
> 折り合いをつけることを教えた方がいいのでは、と思います。
この点で思い浮かべることは、この2,30年間で進んできたと思われ
る、【他人に対する寛容度(許容度)の低下】です。

長屋的感覚の低下、といった方が直感的かもしれません。他人との関係
では「身体感覚」が妙に研ぎ澄まされている。

満員車両ではみんな我慢していますが、ちょっと空いた車両では、ちょっ
と体に触れただけで激昂する人が増えていませんか?

・・・僕自身は、数年前、東京と京都で経験しました。何でこの人激昂
するんだろう、と僕には思われるような接触(一人は青年、もう
ひとりは老紳士風)で激昂されたのには浦島太郎でした。

この原因については、昨年夏のメールで述べたことがあると思いますが、
マイカーの普及(マイカーは閉ざされた空間を作る)が大きく寄与して
いるのではないかと思っています。また、急速な都市化による地域機能
の欠落や崩壊も関係しているでしょう。

・・・例えば、みこし祭りでは、多くの家庭の生け垣や塀が、みこしを
担ぐ人たちの勢いで破壊されていきますが(許容される、という
こと)、こんなことが今も起こるとは想像できません。

葛貫さん【1975】:
> > 小宮さん【1974】:
> >結局何がいいたいかというと、そういった理屈でなく、自
> >らの感性によって、他の人を愛したり、他の生命をいと
> >おしく感じることができるような教育が必要なのではない
> >か、と思いました。
>
> 同時に、怒りとか、憎しみとかいう所謂ネガティブな感情を
> 持たない振りをせず、自分が持っているそのような感情と
> どう付き合うか、どう昇華させるかを考えた方が良いのか
> もしれないとも思いました。
> #そのようなネガティブな感情を抱かない人も存在するの
> #かもしれませんが・・・・・

愛情は愛される経験を積むことによって育つ感情でしょう。「教える」
ものではありません。孤独や屈辱が本人の限界値を越えれば「危険」な
状態ですね。

・・・社会が個人を守る(愛する)なら、個人はその社会を愛するでし
ょう。もちろん、「社会」としては、自然環境から家庭、地域、
国家の様々なレベルを考えることができます。

自分の愛するもの(自分自身を含め)が攻撃されれば当然、怒るでしょ
うし、愛するものに裏切られれば憎むでしょう。和尚なら別でしょうが
。ただ、上述のような「許容度の低下」した社会においては、「攻撃」
と感じる閾値が低くなっているので、例えば、おとなが他人の青少年を
叱ることが「危険」な状態になっています。

・・・許容度の低下の一因は大人が他人の青少年を叱らなくなったとい
う点にもあるのだと思うのですが、「悪の相互増幅回路」(叱ら
ない⇔許容度の低下)を作ってしまいましたね。

問題が大きいのでまとまった考えを述べることができませんでした。思
いつくまま述べたことお許し下さい。

後藤 健
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生命を考える http://www.obihiro.ac.jp/~rhythms
帯畜大 生物リズム学 Phone (& Fax): 0155-49-5612


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