[BlueSky: 1724] ハンバーガーと熱帯雨林 Re:1695 食生活の変化


[From] "SUKA, Takeshi" [Date] Tue, 11 Apr 2000 19:42:03 +0900

邑瀬さん、小宮さん、みなさん

   須賀です。

邑瀬さん:
> 10年ほど前に本で読みましたが、ハンバーガーに使う安い牛肉はアマゾンの熱
> 帯雨林と引き替えに生産されています。いわゆる、ハンバーガー・コネクショ
> ンといわれているもの。つまり、森林を焼き、草が生えてきたところに放牧し、
> 草がなくなればまた別の場所を焼く... というやり方です。安さの裏にはその
> ような秘密があります。ハンバーガー1個で5平方メートルの森林が失われて
> いると、当時は計算されていました。

これも本で読んだりひとに聞いたりしただけの話ですが、中米のコスタリカ
の場合も同じで、かつてはこの国でも米国の牛肉市場に輸出するために、
熱帯林をどんどん切り開いて牧場をつくっていました。
「・・・一九八三年にはこの国の元の森林はわずか一七パーセントを残す
のみとなった。かくしてしばらくの間コスタリカは、米国向け牛肉の世界
最大の輸出国となった。ところがこうした北側の国の嗜好が少し変わって
市場が落ちめになったとき、コスタリカに残されたのは裸になった土地と
広範囲に渡る土壌の浸食だけだったのである」
            ウィルソン『生命の多様性』(岩波書店)より

その後コスタリカは、国家的レベルで自然保護に転じました。1996年には、
エコツアーなどの観光による外貨収入が、バナナやコーヒーをぬいて第一位
になったそうです。エコツアーというと、日本ではイメージだけが先行して
いますが、このような国では経済的な代替案として選択されている面もある
わけです。もちろん問題もあるのでしょうけれど、経済的な側面もふまえた
議論をしないと片手落ちになりますよね。放棄された牧場あとを買い取って
森林を復元するプロジェクトもおこなわれているそうです。

そういえば、最近コスタリカに行って来たといって、ちょっとだけ予告編
を青空MLに投稿してくださったひとがいたような・・・(笑)。


Takeshi SUKA
Nagano Nature Conservation Research Institute (NACRI)
E-mail: suka@nacri.pref.nagano.jp


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