[BlueSky: 159] Re:152 新しい形質の導入


[From] can32960@pop07.odn.ne.jp (yuichiro) [Date] Fri, 23 Jul 1999 01:06:40 +0900

長峰さん、葛貫さん、後藤さん、青空MLの皆さん、こんにちは。
小宮です。

長峰さんwrote;
>現在実用化されている組換え植物は、害虫や除草剤に耐性を示す
>遺伝子を導入したものです。このような組換え生物は、いずれも人
>や環境に影響を与える可能性があり(あくまでも可能性です)、な
>おかつその可能性を否定することが困難なものだと私は考えていま
>す。

確かにそうですね。もちろん組み替え植物に限らず、全ての遺伝子
組み替え生物が人や環境に脅威を与えるでしょう。アメリカでは
遺伝子組み替えにより製造された健康食品のトリプトファンで多数の
障害者、死者が出ているといいます。また、遺伝子組み替え医療薬品
のBST(ウシ成長ホルモン)はインスリン様成長因子の血中濃度を高め、
これが人に移行して、前立腺癌や乳癌発現の危険性が増加する可能性
があると言われています。それに、BSTを使用した牛に多数の副作用
(乳房炎、生殖器障害、牛乳の異常、脚部障害)が見つかっています。


>組換え生物の環境放出には他にも問題があります。それは、特定の遺
>伝子の自然界への拡散が一気に加速することです。例えば細菌→植物
>のような遺伝子の移動は、自然界ではかなりの時間を要します。しか
>し、植物A→植物Bの移動はそれにくらべるとずっと早いです。ですか
>ら、除草剤耐性の雑草が生じる可能性を高めることになります。また、
>自然に除草剤や防虫剤に耐性を持つ個体が出てくる可能性があります。
>そうなると、その害虫や雑草は一気に増殖することになり、さらに新し
>い遺伝子の導入でそれを除去することになります。そうなると後はいた
>ちごっこで、今の医療で問題になっている抗生物質と抗生物質耐性菌と
>の競争のようなことになるでしょう。もちろん、これらの問題は近い将
>来解決できるものと、私は思っています。

長峰さんは、遺伝子組み替えによって生まれた問題も、いずれは科学が
解決するであろうと思われているのですね。でも、そうでしょうか?
僕は自然の力というものは、人間がコントロールできるほど小さなもの
ではないと思います。遺伝子組み替えでどんなに強い毒素を持つ作物を
生み出しても、害虫はそれに耐性を持つ。どんなにすばらしい除草剤耐性
作物を作って雑草を根絶させようと思っても、その遺伝子が雑草に
伝わっていく。これはまさに人知を超えた自然の摂理のように思えます。
どのようなことがあっても、人間が完全に自然を支配することなど
できないでしょう。今各地で行われている自然破壊も、マクロ的に見れば、
長い地球の年月の、ほんの小さな一瞬のできごとなのかもしれません。
我々は自然を破壊していますが、自然はそれに対してもっと大きな力で
答えることでしょう。温暖化で永久凍土が解けたら、海面が上昇して、
大陸が海の底に沈んでしまう。原子炉が爆発して放射能がばらまかれたら、
放射能耐性を持つ生物が繁殖する。人間という種は絶滅してしまうかも
しれませんが、その後にはまた新たな自然がうまれる事でしょう。

後藤さんwrote;
>ここでは、いわばテクニカルな問題について語られていると思うのですが、僕が
>気にかかるのは、社会的な問題です。
>
>つまり、遺伝子操作による種子開発によって、多国籍企業による種子の独占が一
>層進み、土着農業をどんどん破壊していく気がします。

遺伝子組み替えも結局は経済に結びついているということですね。
遺伝子組み替え作物を企業が研究開発して、大規模経営の農民に売る。
それを買う余裕のない小規模農家は、競争に負け、農業から撤退せざる
をえない。大規模農家は収穫率を上げるため大型のコンバインを使い、
樹木を取り払い、牧草地を耕作地に変えてまで耕作を続ける。こうして、
だんだんと農業も大規模経営、大量生産型になっていくのでしょう。酪農
もそう。ウシ成長ホルモンを導入し、家畜を機械のように扱い、生産性を
上げた大規模農家が生き残り、昔ながらの放牧で暮らしていた家族農民は
どんどん撤退しているということです。結局国際競争力のある企業が、
農業までも独占してしまう。しかし、その結果は、莫大な表土の流出や、
環境汚染です。経済の力が、環境を汚染していく。

僕が子供の頃、公害で地球が汚染されていると聞いて、怖くて震え
上がった事がありました。今ではすっかりこの生活に慣れてしまっています。
科学技術は恐ろしい速度で進歩して、公害は加速され、今では人間の
種を絶滅させるかもしれない所まで来ているのに、それでも我々は
経済発展のことを考えて環境破壊を続けています。僕も電気会社で、
数々の電気製品の開発をし、環境汚染物質をばらまいています。
森林は激減していき、砂漠は広がって、ゴミはとめどもなく埋め立て
られて、環境ホルモンが蔓延し、しょっちゅう故障を起す原子炉は
ますます数を増していき…。

結局我々は力を持ち過ぎたのでしょうか?今の発展した科学技術を
コントロールできるほど、人間というのは優れた種ではなかったの
でしょうか?いままでに生み出されたどんなに倫理に反すると思わ
れる科学技術も、結局は認知されています。遺伝子操作技術でも、
既にブタに人の遺伝子を組み込み、臓器移植に使用しようとして
います。そのうち、脳のない人間を遺伝子操作で生み出し、臓器
提供用にやしなう時代が来るかもしれません。このような遺伝子操作
技術が、いったいどのような影響を我々に与えるか、想像することも
できません。核技術でもそう。いったい何度人類を絶滅させることが
できるミサイルがこの地球上にあることでしょうか。やはり人類が
絶滅する時もそう遠くはないのではないかと思ってしまいます。



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yuichiro komiya (小宮祐一郎)
e-mail:can32960@pop07.odn.ne.jp


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