[BlueSky: 1564] Re:1559 +遺伝子操作と農薬:人口、除草剤


[From] can32960@pop07.odn.ne.jp (yuichiro) [Date] Sat, 18 Mar 2000 00:27:28 +0900

はじめまして、上村さん、小宮といいます。

> また、組換え種子は実がなっても次の年の種子としては使えないようになっ
>ています。もちろん大金をかけて開発した種子を誰でも増やすことができたら
>企業としては困るでしょうが、農家としては、毎年種・農薬をその会社から買
>わなければなりません。そして、TVのインタビューに答えた企業の人は、これは
>『日本人のために開発した。』といってました。

これはターミネーター技術のことではないでしょうか。以前このMLでも
話題に上りましたが、遺伝子操作により、交配後生まれる第2世代の種子
(つまり収穫物)が発芽しないように、種子の中に毒素を産出させる技術
のことだと思います。この技術の開発の背景には、遺伝子操作技術の発達
と、企業間での特許紛争競争があると聞いています。従来のハイブリッド
品種においても、2世代目は遺伝子のばらつきがおこるため、農家の方は
種子を毎年購入する必要があったのですが、一応2世代目の種子は発芽は
します。今まではその種子を用いて品種改良を行おうと思っても長い年月
がかかるため、十分種子の開発側の利益は保護されていたのですが、近年
遺伝子組替え技術が発達したため、遺伝子にばらつきがある種子でも、
それが手にはいれば、遺伝子組替えやクローン技術で、この種子をもとに
新品種が作られてしまう、それを防ぐためこの技術が開発された、という
ことらしいです。[960]で中澤さんが紹介してくださった記事では、モンサ
ント社はこの技術の開発を凍結する、という発表を出したそうですが、
技術の商品化をしないというわけではないようです。

僕はこのTVを見ていないのですが、この企業というのは日本の企業なので
しょうか?そうであれば、外国の企業からイネの組替えの特許を守るため、
という構図も考えられなくはありません。

ターミネーター技術に関しては、以下のURLに詳しい説明が載っていました。

「how to the terminate - ターミネーター技術のからくり」
http://www.gaia21.net/org/rafi/terminator-j.html

ターミネーター技術を使うことによって生じる問題として、ターミネーター
遺伝子の、環境への放出の問題、種子の中に生じる毒素に対する安全面での
問題などを指摘してありました。ちなみに、ターミネーター技術には、自然
の生態系に組替え遺伝子を放出させない、という面もあるそうです。

>一般の人で組換え食品に反対したり、不安を持っている人は、大体この辺に
>根拠があるのではないでしょうか。上記のような、種子が第3世界どころか、日本
>の農業に根付いたら結果的に、日本の農業の自立性はなくなってしまう。だから、
>組換え食品に反対し、日本の農業を守ろうよ、ということです。

これは難しい問題ですね。今のバイオ関係の特許出願の過激さのことを考えた
ら、アメリカにイネ関係の特許を押さえられてしまう前に、日本でも研究を進
めて特許を押さえ、日本の農業を守ろう、というのが日本政府の思惑ではない
でしょうか。そもそも農業という技術にこのような企業の特許紛争がからんで
くること自体やりきれないものがあるのですが、現在の農業のハイブリッド化、
大規模化においてはしょうがないものなのでしょうか?

> 皆さんにお聞きしたいのです。
>こういった考えは、一方的に偏った知識の上に成立しているのでしょうか。
>農薬耐性の組換え種子はほんのちょっとで、多くは農薬を減らすための
>技術なのでしょうか。
>・・・農薬もいらない、種子も取れる、収穫も増す、そんなものを作って企業は
>どこで利益を得ようとしているのでしょうね・・・?

僕自身は遺伝子組替え作物が環境改善のために開発されるというのはかなり
疑問だと思います。企業主導である限り、必ず利益がないと開発は行われない
でしょう。しかし、種子購入者側に農薬を減らしたい、というニーズがあれば、
結果としてそのような製品を開発するようになるのではないでしょうか。

農水省のHPに日本で開発されている組替え作物があげられていましたが、
農薬耐性のものではなく、ウイルス病に強いイネや栄養価を高めたトマト
などがのっていました。
http://ss.s.affrc.go.jp/docs/sentan/pa/anser.htm#Q8

<我が国において開発されている組換え農作物>
  ウイルス病に強いトマト
  ウイルス病に強いイネ(日本晴)
  ウイルス病に強いイネ(キヌヒカリ)
  ウイルス病に強いペチュニア
  ウイルス病に強いメロン
  低アレルゲンイネ(キヌヒカリ)
  ペクチンを多く含むトマト
  日持ちの良いトマト
  日持ちの良いカーネーション
  色変わりカーネーション
  低タンパク質のイネ
  色変わりトレニア
  害虫に強いアズキ
  灰色カビ病に強いキュウリ
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小宮 祐一郎
メールアドレス:can32960@pop07.odn.ne.jp


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