[BlueSky: 1521] Re:1512 自律は難しい


[From] yuichiro komiya [Date] Mon, 13 Mar 2000 09:16:04 JST

葛貫さん、こんにちは、小宮です。

> 【1585】、【1587】で言いたかったことは、物がないと言う不幸もあるけれど、
> 物があり取捨選択できる可能性が与えられたことによりもたらされる不幸
> もある、そして、後者の方が、意識的に対処しなければ、解決が難しい分
> だけ大変だろうということでした。

ああ、これは僕が勘違いしていました。葛貫さんは特定の誰かを批判
されていたわけではなく、ものがある所に起こる不幸のことそのもの
を嘆かれていたのですね。「物があり取捨選択できる可能性が与えら
れたことによりもたらされる不幸の方が、大変」というのはまったく
同感です。人の欲には際限がないので、自分でコントロールするとい
うのは絶対に必要でしょう。誰かの為に、というわけでなく、自分の
幸せのためにも自分を自制する必要はあると思います。多く持ってい
ても少なく持っていても失う痛みというのは同じなので、われわれは
欲を制限し、戦いの時に鎧から身体がはみださないようにし、むやみ
に矢が当たらないようにしなければなりません。今の科学技術は、
残念ながらこの人の欲を増大させる方向に一役かっている面があると
思います。人が幸せになるには、科学の発達だけではなく、的確に自
分を自制していくことが大切なのでしょうね。

>世界で生じている貧富の不均衡の原因が、
> 持てる者の心にある物で満たすことができない飢餓感だとしたら、やはり、
> 意識的にみて、自分でコントロールできるようになる、あるいは、自制を
> サポート(監視ということになるのかな)する機関、行き過ぎた場合、
> フィードバックを受ける(2つの拮抗する勢力による冷戦というかたちより
> ましな)システムを作る必要があるのではと思いました。

「他から自制をサポートするシステムを作る」ということは、考えた
ことがありませんでした。確かにこれからの社会には必要になるのか
もしれません。しかし、他から自制を促す場合には、どこに行き過ぎ
の境界線をひくかよほど気をつけないと、独善に陥って不当な制限を
加えることになりかねません。それが、今グリーンピースなどの環境
保護団体や市民運動の行き過ぎなどが問題になる一因でしょう。摂食
障害の場合も、あれは行き過ぎたダイエットにより食欲中枢が破壊さ
れて起こる立派な病気であり、個人の意思でどうこうできるものでは
なく、治すには的確な専門医の診断が必要です。そこの所を理解して
いない人が多くて、普通の内科医や両親などから「いやしく食べ過ぎ
るのはやめなさい」とだけ言われて非劇的なパターンに落ち込む
ケースがよくあります。とかく人は物事を自分の観点からのみ考えが
ちなので、なにごとにおいても対話し、まず相手を理解する、という
のは必要不可欠なのでしょうね(深く自戒…)。

> で、【1283】に書いたように、有識者が最善と思って作ったプログラムの実現
> と、「個人の幸福追求にすら科学的正当性をついつい求めてしまう心理の方
> になにか空恐ろしい物を感じる。」という矛盾の間で立ちすくみ、横山和尚さん
> に、「複雑な世界は矛盾の海の中で静かに生まれ,やがては豊穣なる猥雑の
> 世界に至るのです。矛盾を恐れてはいけません。」と励まされ、ここにいるとい
> うた次第です。いろいろ、勉強させて下さい。
>
> 言葉が足りなかったり、きつかったりで、ごめんなさい。


とんでもないです。これはまったく僕も同じで、本当にいろいろな
ことを勉強させてもらっています。



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