[BlueSky: 1511] Re:1507 結論の要求


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Sat, 11 Mar 2000 11:19:26 +0900

ムラセさん、こんにちは、葛貫です。

社会のニーズが研究者を急かせて、十分に検討する時間を与えないと
いうのは、GM食品の導入にもあてはまりますよね。
でも、この「社会のニーズ」というのも誰が煽って作ったニーズっぽい気が
するのですが・・・。

[BlueSky: 85]にも書いたのですが、知人がある企業のプロジェクトに対する
反対運動に関っていたことがありました。初めは、どういうことなのか知りた
いと思っていたようですが、説明会などに行くと、質問に回答しようと努める
のではなく、問題をすり替えて質問を返す、ヤジ・中傷合戦で、話にならない
と驚いていました。何回か通っているうちに、自分もヤジを飛ばすようになっ
ていたと言っていました。話し合いの場が持たれるに至るまでの、様々な感
情的な軋轢が、事実云々より重くなってしまうのでしょうか。
知人の話を聞いていて、何がほしいんだろう? 問題を解決するのではなく、
要するに怒っていたいわけ?と、時々思いました。我に正義ありと怒っている
時ってパワフルで、恐いものものなしで、自分の存在価値を証明できたような
一種の快感が得られるのかな、とも思いました。
「観ているだけの人から言われたくない」と言われましたが、今後のために、
どういう経過を辿るものなのか観る立場を貫きたいと思いました。

一般の人との間にある溝を誠実に埋めようとする学者さんが、誤解や無理
解の壁にぶつかり、傷つき、気力が萎え、もう御免だと思い、理解を得る機会
が失われてしまう。残念なことです。私もそうなのですが聴くことが下手という
のは、理解や解決に向けて致命的であるように思われます。

>すぐに結論を求めず、既知の事実を冷静に受け止めて、自分なりに考えるよう
>な心構えが大切に思います。また、そのような教育が必要です。過程より答え
>の方を重視する日本の(学校や親の)教育では、その辺が不足しているように
>思います。これが結論です。(^^)

同感です。
白黒はっきりつける役割を果たすのが科学、ひどい場合は、善悪の保証
を科学がしてくれるというようなような科学信仰があるのかもしれませんね。
科学が扱うのは、現時点で測定し得る物とエネルギーの状態や流れで、
事実の羅列。科学が提示し得るのは、現時点で最も合理的に見える解釈、
可能性、確率なのだと思います。自分の責任で仮説を採択することしかで
きないのだと思います。責任転嫁してはいけないですよね。

全く別な話になってしまうのですが、3月9日の朝日新聞に
「ローマ法王庁 カトリックの罪総括」という記事が載っていました。
「ローマ法王庁(バチカン)は7日、キリスト教会の分裂、十字軍、異端審問、
反ユダヤ主義など、カトリック教会や信者団体がかかわった歴史的な罪を
神学的な立場から総括する文書を発表した。法皇ヨハネ・パウロ2世は、
この文書をもとに、教会の罪を認め、許しを求める特別ミサを12日にサン
ピエトロ寺院で開く。」という内容でした。

「神学的な立場」とは、どのようなものかわらないのですが、西洋思想の
基盤を作ってきたとも言える大きな勢力のトップが、自分達の勢力拡大、
体制の強化のために正当化してきた侵略・殺戮の非を認め、公表、謝罪
する決心をした。外部から見ると、何を今更ですが、自分達が同じ愚を繰
り返さない決心、他者にも同じ愚を繰り返してほしくないという願いの現れ
だと思いたいです。

ではでは。




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