[BlueSky: 1474] Re:1472 遺伝子操作と農薬


[From] Shigeru Hoshino [Date] Tue, 07 Mar 2000 07:52:12 +0900

須賀さん、山崎さんこんにちは。星野です。
 あえて、バイオ関係の研究者立場にたってみたいと思います(役不足かな?)


>須賀:
>> 上記のホームページの主張の基調は、
>   ・・・・・
>> 「公正な基準にもとづいて安全といえない科学・技術の利用はひかえるべき」
>> だと思ったのですがちがうのかな。
>
>山崎さん:
>> そうですね。僕は「遺伝子組み替え食品は危険かもしれない。」と受け取りました。
>> なので、必要じゃなければやめとこうよ。がいまの僕の意見です。必要なのでしょう
>> か?
>
>なるほど。必要かどうかは、僕にはわかりません。PSRASTは、必要ない
>と言っていますね。
>
>わたしは個人的に、生態学的な悪影響と途上国への社会的・経済的な悪影響
>に特に関心があります。ただ「悪影響がある」と自分のことばでいえるほど
>の知識がないので慎重な言い方をしました。わたしの前回のメールは、遺伝
>子組み替え食品そのものへの評価に立ち入ったものではなくて、ホームペー
>ジをつくっているPSRASTの基本姿勢をどうとらえるか、という点にふれた
>だけのつもりだったので、そういうふうによんでいただけたらうれしいです。
>
>> ムラセさん:
>> GMを反対する意見の多くは、遺伝子操作という「よく分からない物」を敬遠す
>> る本能からきているように思います。
>
>山崎さん:
>> 僕もその本能から敬遠してるのだと思います。ただ、「よく分からない物」
>> だからこそ一部の関係者の間で話しが進んでいくのはやはり不安です。
>> また、なんとなく慣れて分かった気になってしまうのはもっと恐いです。
>> この不安を取り除いていくことも、とても大切だと思います。
>
>そうですね。これは本当に大事なことだと思います。環境問題をめぐって
>科学と技術のありかたがいろいろな場面で問題になるのも、まさにこの
>ことと深い関係があると思います。
>
>山崎さん:
>> 確かに人間のため技術です。でも、僕はその割り切りができてないんだと思います。
>> なぜなら、科学・技術がいくら人類に貢献することを掲げていても、そのほかの要因
>> によって人類を脅かしている例は山のようにあるからです。
>> 核にしてもそうですし、食料問題にしてもそうです。
>> その点、いい加減な言い方ですが、自然により近い状態で人類があれば・・・
>> 自然と共生できれば・・・。このほうが僕にはすわりがいいんですが。
>
>ほかの要因をよく考えずに新しい科学・技術の利用だけで人類に貢献する
>と考えるのは、おっしゃるように危険な結果をまねきやすいとわたしも
>思います。科学・技術が大規模化し、社会や環境への影響が大きくなって
>いるだけに、このことにはよほど注意深くあらねばならないと思います。
>PSRASTのように、専門性を生かしながらその見解を一般のひとにもわか
>りやすくつたえ、社会に対する責任を果たしていく、というのもひとつの
>大事な活動だと思います。
>
>「自然と共生」することを考えるのも、簡単なことではありません。
>このことについて研究するのが、僕の仕事なんですけれど・・・(笑)。
>こういう研究にも科学的なものの考え方は必要ですが、それだけでは
>だめですし、いろいろな意味で社会とのコミュニケーションを大切に
>していかなくてはいけないと思います。
>
>葛貫さん:
>> どの時代、どこの国、どの階級(?)に属するか、何を一番大切にするか、何を最
>> 優先するかによって、善悪、安全・危険の判断は変わってくるように思われます。
>> 餓えて瀕死の人達を前にしたら、その人達の餓えを満たすことが、自然を破壊
>> したり、多少のリスクをおかしても善で、最優先事項になるかもしれません。
>
>葛貫さんのこの意見に共感しました。PSRASTがかかげる
>
>> 新しい科学と技術を利用するにあたっては、それが
>> ・地球の生態学的状況をこれ以上悪化させず、持続可能な発展と長期的に両立
>>  するものでなくてはならない。
>> ・地球上のひとびとの健康をおびやかすものであってはならない。
>> ・南の国々の社会的経済的状況を悪化させるものであってはならない。
>> ・人間のニーズに大きく寄与するものでなくてはならない。
>
>という基準がゆらぐ場面があるとしたら、そういう状況におかれたとき
>かもしれないと思いました。もっともPSRAST自身、これらの基準は、
>「予備的な草案」であるとことわっていますね。おなじ意見や主張でも、
>きくひとの位置によって意味や受けとめ方がかわってくるということへ
>のこのような想像力を、大切にしなくてはいけないな、と感じました。
>

バイオ研究者の主張:
 これからも人口が増え続け、2050年には150億人に達する。このためには
病害虫、雑草、干ばつ、冷害、塩害に強い植物の育成が必要である。我が国
も20〜30年後に予想される食糧危機の回避のためにGMを取り入れる必要が
ある。
 GMの安全性の評価基準を消費者に示し、基本的にはそれをクリアーできれ
ばよい。しかし、100%の安全は確保できないだろう。新幹線や飛行機などどれ
をとっても100%安全な技術ではない。安全性の基準を消費者に示し理解しても
らい、利益性が高いことを認識してもらえば、GMの食品の必要性がわかってく
れるだろう。

(バイオ研究者は、消費者のGM食品に対する反応にかなりとまどいがある。
いや、とまどいではなく原発論争にも似たような現象として、専門家が、消費者
を「無知なるもの」と捉えている帰来がある。安全性を示せないのに、消費者に
「安全性を示せばよい」というのは、消費者を馬鹿にしているとしか思えない。
 隔離ほ場で安全性を試験するらしいが、日本のどこに隔離されるような場所が
あるのだろうか。)

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hoshino@arc.pref.hiroshima.jp


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