[BlueSky: 1454] Re:1453 遺伝子操作と農薬


[From] "SUKA, Takeshi" [Date] Thu, 2 Mar 2000 21:35:46 +0900

山崎さん はじめまして。
            須賀です。

山崎さん:
> 参考までに、授業で紹介されたHP(英語)「なぜ遺伝子操作が良くないのか」で
> す。
> Physicians and Scientists for Responsible Application of Science and
> Technology
> http://www.psrast.org/

このホームページ、今入口だけちょっとのぞいてきました。
ここであつかっているのは遺伝子操作一般ではなくて遺伝子操作された「食品」
の問題のようですね(ちがうのかな)。

わたしは遺伝子操作の問題にはくわしくないのですが、このホームページの
文面には抗しがたい明晰さとモラル面での志の高さがあるように感じました。
この問題に関心をおもちの方には必見ではないでしょうか。このホームページ
をつくっている学際的な専門家のグループは、(こういうことばが適切なのか
どうかわかりませんが)ヒューマニズムというか「人間」を価値の基準にすえ
ているように思いました。

新しい科学と技術を利用するにあたっては、それが
・地球の生態学的状況をこれ以上悪化させず、持続可能な発展と長期的に両立
 するものでなくてはならない。
・地球上のひとびとの健康をおびやかすものであってはならない。
・南の国々の社会的経済的状況を悪化させるものであってはならない。
・人間のニーズに大きく寄与するものでなくてはならない。
という基準をもうけているようです。

この基準にわたしは異論を思いつきません(だれか思いついて)。

問題は、この基準にもとづいてこのホームページのなかで詳細に展開している
(とみられる)遺伝子操作食品の問題点の指摘とモラトリアムのよびかけが、
その内容に即して適切かどうかということだろうと思います。まさにそこが
肝心なんですよね。その面で、このMLでも話題が再燃すればいいなと思います。

山崎さん:
> これは哲学的な問いになります。以前の「科学技術と社会」のあたりでも議論されて
> いますが、この問いに対して、”一般的に”、日本ではどのような価値観があるので
> しょうか。
> 「自然の状態でないものは悪である。」でしょうか、それとも、「危険だと証明され
> ないものは
> 安全」なのでしょうか。
> また、BlueSkyの皆さんはどう考えられますか?

「”一般的に”、日本では」
ううむ。ごめんなさい。これって、僕が一番苦手な問題の立て方なんですよ。
「いろいろちがった考え方がある。」
これじゃだめですよね(笑)。どなたかお助けを・・・。

上記のホームページの主張の基調は、
「自然の状態でないものは悪である。」でも
「危険だと証明されないものは安全」でもなく、
「公正な基準にもとづいて安全といえない科学・技術の利用はひかえるべき」
だと思ったのですがちがうのかな。

自分で自分をひっかけるような動揺をおぼえつつ・・・(笑)。

「安全」も「悪」も人間を基準にしないと考えられないと思うのですがどうで
しょう。地球環境や自然のことを考えるのも人間のためだ、人間が自然界から
生まれてきたことを思うのもそのためだ、と僕はわりきっているのですが。
この考え方が日本で一般的にどのくらい通用するのかは全然わかりません(笑)。

それではまた。


Takeshi SUKA
Nagano Nature Conservation Research Institute (NACRI)
E-mail: suka@nacri.pref.nagano.jp


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